2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

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作者:ロバート J.レズニックレビュー: 成人のADHD 臨床ガイドブック (単行本) ADHDという名前にいたるまでの歴史的な変遷、診断や評価、成人向けの診断基準、治療などが記載されている。多くの類書のように症例が記されているのだが、各項目ごとにそれに焦…

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作者:カベルナリア吉田レビュー: フェリーボートで行こう!―スロー・トラベル (単行本) 実は、東北のあるユースホステルで吉田さん本人と偶然出会いました。ご本人も話し好きの楽しい人で、何より旅と人とのふれあいが好きな人だと思いました。本の内容も癒…

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作者:ヨーゼフ・ブロイヤーレビュー: ヒステリー研究 下 (ちくま学芸文庫) (文庫) 上巻のレビューアーの方(お気に召すまま氏)も書いているが、ちくま学芸文庫として新たに刊行されたブロイヤーとフロイトの『ヒステリー研究』はまさ労作。詳しい訳註は示…

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作者:ロゲルギストレビュー: 新 物理の散歩道〈第2集〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 野口 悠紀雄「超」整理法―情報検索と発想の新システムの参考文献に本書が掲載されている。分類を用いて整理するには、何がしかの体系を想定しているとよい。物理学は最高の…

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作者:徳川 夢声レビュー: 問答有用 徳川夢声対談集 (ちくま文庫) (文庫) 徳川夢声は言わずと知れた座談の名手。生涯にわたって行なった対談は『問答有用』という題で、1から3巻にまとめられているが、本書はその中から阿川佐和子さんが選んだベストを収…

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作者:五十嵐 太郎レビュー: 新編 新宗教と巨大建築 (ちくま学芸文庫) (文庫) 例えば著者は、神慈秀明会のMIHO MUSEUMを「単なる成金の豪華な建築ではなく、施工の精度も高い、すぐれた建築だからである」として積極的に評価している。また、創価学会の大石…

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作者:レビュー: 武満徹対談選―仕事の夢 夢の仕事 (ちくま学芸文庫) (文庫) 武満氏は音楽に対してオープンマインドで、ジャズのセオリーでも支持できるものはきちんと支持した。ジョージ.ラッセルの対談では、嬉しくて仕方ない、という風情がよく見える。…

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作者:平野 恵理子レビュー: ハワイ島アロハ通信 (単行本) ハワイ島で出会った人、ホンガンジでのボン・ダンス体験、ヒロで行った展覧会の準備の悪戦苦闘など、イラストレーターやルポライターとして幅広く活躍されている著者が自分の体験から、ハワイ島(特…

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作者:エマニュエル レヴィナスレビュー: 実存から実存者へ (ちくま学芸文庫) (文庫) レヴィナスが固有の思想を語り始めた最初の著作ということで、翻訳そのものが重要であるが、訳注については(少なくとも現在の時点から見れば)不満が残る(とは言え、極…

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作者:都築 響一レビュー: 珍世界紀行 ヨーロッパ編―ROADSIDE EUROPE (ちくま文庫) (文庫) 「珍日本紀行」の方が、身近な分だけ面白さがあったような気もします。日本版の方は、秘宝館のような貧乏くさい味わいがあったり、意味不明な個人的な陳列があった…

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作者:吉本 隆明レビュー: 音楽機械論 (ちくま学芸文庫) (文庫) 1986年出版のすごい本の文庫化。YMOから戦場のメリークリスマスを経てノリにのってた若き坂本龍一が、当時すでに還暦を迎えていた思想界のスーパースター吉本隆明と、なんと音楽の話をし…

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作者:斎藤 緑雨レビュー: 斎藤緑雨 (明治の文学) (単行本) 明治もしやそれ以前からの古き地名、称呼を、各ページの下欄として割ったスペースに一々丁寧に註釈されています。明治どころか近代のものを名指すにさい疎い私にとっては、おおいに助かりました。…

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作者:阿部 謹也レビュー: 中世を旅する人びと―??! ?ーロッパ庶民生活点描 (単行本) タイトルの通り、中世ヨーロッパの庶民の暮らしについて、実に詳しく書かれている。現存する当時の資料の少なさもあり、中世ヨーロッパについて書かれた本の多くは、貴族…

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作者:レビュー: ヨーロッパの歴史―欧州共通教科書 (大型本) 満州事変を起こした張本人である石原莞爾が軍事を語る上で「けんかは何と言っても欧州が本場であります」と繰り返し感心している欧州。その欧州の大人たちが自分達の今を見つめ直し、人間の強さ…

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作者:ポール クルーグマンレビュー: クルーグマン教授の経済入門 (単行本) ポール・クルーグマンは非常にアカデミックな国際経済学者であるが、90年代から一般向けの啓蒙書も多数書いているのでビジネスマンを中心に知名度も高い。アジア経済への過度な期…

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作者:竹野 豊子レビュー: おいしいパンのひみつの話 (単行本) パンの講師として大活躍の著者が、パンに対する情熱をたっぷり語ってくれるエッセイといった感じでした。ものすごく文章が上手というわけではないけれど、著者の元気と情熱に引きずられて、一…

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作者:佐高 信レビュー: 追悼譜 (ちくま文庫) (文庫) 佐高信がこれまで接してきた「人の死」の中で、彼なりの目で「気骨ある人」だった人だけを選んでいる。沢村貞子、土門拳、藤沢周平、城山三郎……いずれも、周囲に媚びず、自らの意思を貫いた人たちばかり…

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作者:林 望レビュー: 風邪はひかぬにこしたことはない (ちくま文庫) (文庫) リンボウ先生の「時間の作法」を読んで、風邪対策マニアということを知りました。私も風邪をひいてばかりいるので「これは要チェック!」と購入。リンボウ先生の風邪対策の徹底さ…

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作者:井上 ひさしレビュー: 映画をたずねて―井上ひさし対談集 (ちくま文庫) (文庫) いやあ、おもしろいの一言。井上ひさしさんが素晴らしいのは、早い時期にたくさん読んで、たくさん観たことで、大人になる前にすでにたくさんの作品を自分の中で体験して…

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作者:青島 広志レビュー: ブルー・アイランド氏の音楽家ってフシギ (単行本) 「ゆかいなコンサート」から青島氏のファンです。テレビで拝見しても氏のお人柄がうかがえますが、書き物でも充分、氏の温かいお人柄とユーモアが感じられます。『オペラ観察記…

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作者:前田 愛レビュー: 樋口一葉の世界 (平凡社ライブラリー) (ペーパーバック) 「にごりえ」「たけくらべ」を読んであの文体に辟易したわたくしが次に読んだのが本書です。第一部は一葉が生きた明治という時代を女性という観点から斬ったものです。時代背…

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作者:ポール クルーグマンレビュー: 経済政策を売り歩く人々―エコノミストのセンスとナンセンス (単行本) P・クルーグマンは当代きっての切れ者だ!普通は正統派の学者は世間に対して物申すことをしないが、これを買って出たのがP・クルーグマンだ。新聞…

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作者:石川 啄木レビュー: ちくま日本文学全集 (030) (文庫) 前半に「一握の砂・悲しき玩具」の詩集が入っており、後は書簡・日記など啄木の文が入っています。普通、両方読むとなったら数冊の本になりますが、この本だとハンディな大きさですべてのものを…

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作者:W.V. クワインレビュー: 哲学事典―AからZの定義集 (ちくま学芸文庫) (文庫) 本書は「哲学事典―~とは何であるかを考える」の文庫化です。語学〜数学〜哲学に関する色々なキーワード(A:アルファベット〜Z:ゼロ)に関するエッセイ的解説集で、決して哲学…

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作者:中山 元レビュー: 思考の用語辞典―生きた哲学のために (ちくま学芸文庫) (文庫) 読む哲学・思想事典、キーワード集など、類書がたくさんある中で、読みやすさは随一。文庫化されて、さらに手軽になった。同じ「ちくま学芸文庫」から出たクワインの『…

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作者:吉田 篤弘レビュー: つむじ風食堂の夜 (単行本) 日本の懐かしい風景が目に浮かぶ。夜の静かな町で語られる、あったかいお話。万歩計を「二重空間移動装置」、エスプレッソマシーンを「人工雲製造機」となずけたり、彼らしいユニークな発想がちょっぴり…

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作者:養老 孟司レビュー: 解剖学教室へようこそ (ちくま文庫) (文庫) 解剖って、なんだか気味が悪いものではないだろうか、と漠然と距離を置いている人を歩み寄らせるには、なかなかいい内容だと思う。解剖とは、言葉で名を与え、細分化し、世界の構成要素…

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作者:外山 滋比古レビュー: ことわざの論理 (ちくま学芸文庫) (文庫) 一度読んだことのなる作者の本を手に取る時には、同じようなことが書いていないか少し不安になるものだが、この人の著作は同じことが書いてあったとしても、780円の価値は間違いなく…

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作者:大倉 崇裕レビュー: 聖域 (単行本) 3年前のある事件から山に背を叛けて行きて来た草庭(くさば)。そんな彼が、学生時代からのコンビであり親友であった安西を山で失う。山に慣れ、そして技術的にも遭難したとは思えず…。草庭は、安西が滑落した真実…

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作者:千田 嘉博レビュー: 戦国の城を歩く (ちくまプリマーブックス) (単行本) 我々は、城と言えば、石垣とそこにそびえ立つ天守を考えがちである。しかし、この本は、そこに到達する過程を時代背景を絡ませながら論じている。天守閣のない、いわゆる「城跡…