2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:フィリップ・K・ディックレビュー: 去年を待ちながら (創元推理文庫) (文庫) 内容はいつものディック小説。ほかの方のレビューどおり。しかしラストの主人公とある物との会話は、何度読み返しても疲れた心に響く。無生物を描かせてこの作家の右に出る…

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作者:A.E.ヴァン・ヴォークトレビュー: 非(ナル)Aの世界 (創元SF文庫) (文庫) SF界最大の鬼才ヴァン・ヴォクトの最大の問題作。ワイドスクリーンバロックということばがあるが、それはつまりベスターの「虎よ、虎よ」と本書「非Aの世界」の二冊のことで…

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作者:太田 忠司レビュー: 夜叉沼事件 (創元推理文庫) (文庫) 狩野俊介シリーズ3作目に当たる本作。前2作と比べるとかなり物悲しい雰囲気や怪奇的要素が盛り込まれグッと大人向け本格ミステリーとしての方向性が強調されている。読み応えがあり、シリーズ屈…

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作者:アイザック アシモフレビュー: 変化の風 (創元推理文庫) (文庫) 作品の量が多いため、少々ページ数が多くなっています。ただ1作品あたりのページ数はさほど多いものがないのがせめてもの「救い」ですね。面白いのは食が原因で故郷を終われる羽目となっ…

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作者:H・G・ウェルズレビュー: 世界最終戦争の夢 (創元SF文庫―ウェルズSF傑作集) (文庫) ウェルズの諸作品を読むと畏敬の念を禁じ得ない。SFのほぼ全分野の基盤をひとりで作り上げ、その上、どの作品も面白く、かつ上質ときている。本書の作品中では、そ…

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作者:エドモンド・ハミルトンレビュー: 輝く星々のかなたへ!/月世界の無法者 キャプテン・フューチャー全集5> (創元SF文庫) (文庫) ハヤカワSFでは、出版社・翻訳の進捗等の都合から、時系列的な順序で出版されなかったし、通し番号もなかった。当の翻訳家…

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作者:朱川 湊人レビュー: 赤々煉恋 (単行本) そうなんです。花まんまであまりにも脚光を浴びた直木賞作家は本当はホラー専門なのです。でも、血で血を洗うようなスプラッタ的なホラーではなく、どこか悲しげで幻想的なのは、朱川湊人の底力なのかもしれま…

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作者:アイザック・アシモフレビュー: 銀河帝国の興亡 1 風雲編 (創元推理文庫 604-1) (文庫) 銀河帝国というと、いろいろな宇宙人が出てきそうな雰囲気なんですけれど、出てきません。科学や歴史に通じたアシモフ博士ならではの世界が広がります。宇宙の広…

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作者:山口 雅也レビュー: キッド・ピストルズの妄想―パンク=マザーグースの事件簿 (創元推理文庫) (文庫) 本格ミステリの短篇や中篇は、大抵推理の骨格だけ書きました、というようなスカスカのモノが多くて辟易するけど、この作品集中の中篇はどれも、深み…

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作者:有栖川 有栖レビュー: 月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫) (文庫) 江神シリーズの第一作。有栖川氏の作品では、いくつかの些細な手掛かりが与えられ、その手掛かりから過去を論理的に再構成するという探偵手法が採用されている。このデビュー作も…

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作者:コナン・ドイルレビュー: 失われた世界 (創元SF文庫) (文庫) シャーロックホームズを書いたコナンドイル作ということで読んでみたがホームズとはまったく違った冒険物語は実におもしろかったです!現実世界から一歩踏み込んだところに、思わぬ非日常…

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作者:ジェイムズ・P・ホーガンレビュー: 未来の二つの顔 (創元SF文庫) (文庫) 人工知能 (AI) の世界的権威=ダイアー博士のもとに重大な知らせが入った。彼が設計し、月面基地の管理体制を維持してきた新世代型AI=タイタンに致命的な問題点が発見さ…

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作者:マイケル・ムアコックレビュー: ルーンの杖秘録 1 額の宝石之巻 (創元推理文庫 652-1) (文庫) ムアコックのエターナル・チャンピオンシリーズの中でも、最も読みやすい作品と言えるのではないでしょうか。呪われまくってるエルリック、苦悩してばっか…

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作者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズレビュー: 時の彼方の王冠 (創元推理文庫) (文庫) ダイアナ・W・ジョーンズの頭の中はどうなっているんでしょうか。こんな壮大な「ディルマーク王国」という、現実にあるのではないかと錯覚してしまう国を作り上げてしま…

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作者:シャーロット マクラウドレビュー: 水のなかの何か (創元推理文庫) (文庫) 花の種を採取するシャンディ。その花を想像するに、綺麗なこと!!又登場する絵がすばらしい。登場する食べ物が美味しそうなのは定番ですが、ホッとします。ミステリーですが…

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作者:コリン・ホルト ソーヤーレビュー: 老人たちの生活と推理 (創元推理文庫) (文庫) ジル・チャーチルが好きな人なら。絶対にこの本が気に入ります。かく言う私もその一人。表紙のイラストがいかにも「おもしろそう」だったので手にとりましたが、ぜんぜ…

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作者:ロバート・W・チェイムバーズレビュー: 黄衣の王 (創元推理文庫) (文庫) ラヴクラフトに影響を与えたことで知られる作家の作品集だが、恐怖小説以外の作品も載っており、その意味で新鮮な気持ちで読めた。ただ、訳が今ひとつで、何度も読み直さない…

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作者:A.E.ヴァン・ヴォークトレビュー: 非(ナル)Aの傀儡 (創元SF文庫) (文庫) 前作「非Aの世界」より楽しめます。特に哲学に明るくもなく興味もない私は、単純に内容が分かりやすかったから、というのが正直なところですが、「予知人」「影」の登場などで…

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作者:アイザック・アシモフレビュー: わたしはロボット (創元SF文庫) (文庫) もう何も言わなくてもいいほど有名な本です。2、3篇読めばすぐ感じることですが、これはロボットSFであり、かつ、パズル小説群です。「ロボット三原則」というルールの下に、…

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作者:道尾 秀介レビュー: シャドウ (創元推理文庫) (文庫) 文体は読みやすいの嫌いではないけど、心理サスペンス風のストーリーは突出した部分がない。あまりに平坦なストーリーなので、最後に大どんでん返しがあるのかと期待して読み進めましたが・・・読…

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作者:レナード・ウイバーリーレビュー: 小鼠ウォール街を撹乱 (創元推理文庫 526-3) (文庫) 小鼠シリーズの3作目。相変わらずの小鼠ぶりです。小鼠に乗り込まれては、世界の経済の中心ウォール街も形無しです。グランドフェンウィックで経済問題と言えば…

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作者:ジェイムズ・P. ホーガンレビュー: 時間泥棒 (創元SF文庫) (文庫) 「時間泥棒」というタイトルから、ミヒャエル・エンデの「モモ」(最高です)のようなものを想像していたら…もちろん全然ちがった。 '77年「星を継ぐもの」でのデビュー以来、毎年1…

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作者:レナード・ウイバーリーレビュー: 小鼠月世界を征服 (創元推理文庫 526-2) (文庫) 小鼠シリーズの2作目です。米ソの過熱する宇宙開発に、小鼠グランドフェンウィックが参戦します。ほんとに大好きなシリーズなので、ぜひ他の人にもオススメしたいで…

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作者:マイケル ムアコックレビュー: ブラス城年代記〈3〉タネローンを求めて (創元推理文庫) (文庫) 本書はケルン公ホークムーン最後の冒険譚であると同時に、早川書房/東京創元文庫にまたがって四つのサーガでつづられてきた〈永遠の戦士〉シリーズの最終…

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作者:ウィリアム・テンレビュー: ウィリアム・テン短編集 (1) (創元SF文庫) (文庫) まずは復刊めでたし。名編「地球解放」に強烈なインパクトを受けたこともあり,まとめて作品を読める機会ができたのは喜ばしい。 1集では,「非P」が出色。核戦争後の生…

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作者:平石 貴樹レビュー: だれもがポオを愛していた (創元推理文庫) (文庫) 何かおもしろい本格ミステリはないかとお探しの方、いませんか?そんな方におすすめなのが、本書の著者 平石貴樹のミステリ。作品数は少ないのですが、どれをとっても満足できる…

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作者:D.M. ディヴァインレビュー: 悪魔はすぐそこに (創元推理文庫) (文庫) 物語の舞台は大学だ。ここで描かれる殺人は決して派手なものではない。きわめてオーソドックスな殺人でそういった意味ではそこに奇妙な謎もトリックの妙味も存在しない。いわゆる…

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作者:J.G. バラードレビュー: クラッシュ (創元SF文庫) (文庫) 何年か前にクローネンバーグが映画化したバラードの問題作が文庫化されたので、読んでみた。交通事故に性的欲望を抱く人間っているのかなってはじめは思ったけど、テクノロジーとか人体改造っ…

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作者:エドモンド・ハミルトンレビュー: 反対進化 (創元SF文庫) (文庫) 表題作も古典的名作で結構だけれども,私としては,巻末の2編がすばらしい。「審判のあとで」の不思議な静寂感。星間探査用サイボーグたちがひっそりと艦内に帰還し,人類のメッセー…

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作者:アレクサンドル デュマレビュー: 黒いチューリップ (創元推理文庫) (文庫) 私はデュマのファンです。なので、この本の存在を知って読みたくなったので買いました。「三銃士」や「モンテ・クリスト伯」のような冒険活劇を期待して読まないほうがいいか…