2014-01-01から1年間の記事一覧

Book Review!

作者:稲葉 振一郎レビュー: 「資本」論―取引する身体/取引される身体 (ちくま新書) (新書) 本書は、あとがきにも述べられているように「セーフティネット論」である。これだけ聞くと「またつまらない人道的説教か」と思うかもしれないが、そうではない。本…

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作者:大瀧 雅之レビュー: 景気循環の読み方―バブルと不良債権の経済学 (ちくま新書) (新書) 第4章までは数式がでてくるので、面倒な人は経済の復習なので飛ばし読みしてよい。面白いのは、第5章以降で、1970年代以降のマクロ経済学のミクロ的基礎に言及し…

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作者:斎藤 孝レビュー: 子どもたちはなぜキレるのか (ちくま新書) (新書) 「なぜ子供たちがキレるのか」という問いに答えようしてと書いた本というより、著者の活躍の基本にある考え方、姿勢がわかる本だと思う。本人が書いておられるように、コトは子供た…

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作者:伏木 亨レビュー: 人間は脳で食べている (ちくま新書) (新書) 有名な店、高い店、人が並ぶ店、さらには気のあう人と食べる料理、緊張の後の食事など、確かに情報や環境で味が変わる。それらの要因を4つにまとめて解説している。が、それよりも「和食…

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作者:井上 一馬レビュー: 通勤電車ではじめる英語―頭の中で日記をつけよう (ちくま新書) (新書) 学校英語でなく、実際の会話調英語から「使える英語」を学習出来るようにトライしている本。「通勤」という名の通り、本は薄く内容も実用的なものが多いまた…

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作者:陳 寿レビュー: 正史 三国志〈2〉魏書 2 (ちくま学芸文庫) (文庫) 「正史・三国志」のうち、魏書の2冊目になる。私は実は、この2巻が欲しくて、ちくま学芸文庫の「正史・三国志」シリーズ全8巻を買いそろえた。ただ、本書を購入するかどうかを考え…

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作者:池尾 和人レビュー: 現代の金融入門 [新版] (ちくま新書) (新書) 不思議なことに、経済学一般の入門書に比べ、金融論の入門書は数が圧倒的に少ない。一般読書人の関心が、ファイナンス、行動経済学、ゲーム理論などの分野にシフトしつつあることが原…

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作者:小林 章夫レビュー: イギリス英語の裏表 (ちくま新書) (新書) 本文中にも書かれているけれど、英語の語学力をつけるために書かれた本ではありません。この本はイギリス英語についての雑学本。日本に外来語があるように、英語にも外来語があり、その語…

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作者:村瀬 学レビュー: 自閉症―これまでの見解に異議あり! (ちくま新書) (新書) 自閉症患者に良く見られる症例として取り上げられる「特定の分野についての異常なまでの記憶力」について、著者は電話番号の記憶術などと対比して人間に普遍的なものであるこ…

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作者:森 有正レビュー: 森有正エッセー集成〈1〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 私が最初に彼の著作と出会ったのは現代国語の教科書の中でした。美しい日本語で書かれているにもかかわらず、ちょっと気を緩めると内容が理解できない、哲学のような、エッセイの…

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作者:岩田 靖夫レビュー: ギリシア哲学入門 (ちくま新書) (単行本) 著者がだいたい2005年以降から最近までものしてきた文章をまとめた作品である。ちくま新書の前著『よく生きる』(2005年)の続編といった趣がある。よって、同新書の「○○入門」シリーズの…

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作者:清水 義範レビュー: 早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書) (新書) 本書は清水ファンは大いに楽しめます。逆に、清水作品に親しんでいないと、本書の面白さは半減してしてしまうかなあと・・・。取っ付きやすそうで、読者を選ぶ怖い…

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作者:坂野 潤治レビュー: 昭和史の決定的瞬間 (ちくま新書) (新書) 本書は、昭和11年・12年の総選挙の意義を重視し、「準戦時体制」とも呼ばれる当時の政局を読み直す。そして社会改革を主張し躍進する社会民主主義政党が軍拡に肯定的で、現状維持を志向す…

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作者:高澤 秀次レビュー: 戦後日本の論点―山本七平の見た日本 (ちくま新書) (新書) 山本七平を、正確に戦後日本思想史に位置付けるのは、極めて困難な作業である。右派と左派、保守と革新、前近代と近代、伝統主義と合理主義、アカデミズムと大衆という分…

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作者:高瀬 淳一レビュー: 「不利益分配」社会―個人と政治の新しい関係 (ちくま新書) (新書) 今後の経済の低成長、巨額の財政赤字、人口減少が進む中で、政治の役割というのは、利益分配から不利益分配へ変わっていくということを前提に、政治のあり方を論…

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作者:香西 秀信レビュー: 議論術速成法―新しいトピカ (ちくま新書) (新書) 著者は、論法を蓄えることを勧める中で、「論法を抽象的な「型」として理解するのではなく、あくまでも具体的な議論によって覚えなければならない。・・説得的な論法を大量に注ぎ…

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作者:氏家 幹人レビュー: サムライとヤクザ―「男」の来た道 (ちくま新書) (新書) 読みながら、サムライとヤクザを一冊の本にまとめるのは無理だなと感じていたら、著者自身もエピローグで「奇妙な本」と評していたのは笑えました。とはいうものの、面白い…

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作者:茂木 健一郎レビュー: 意識とはなにか―「私」を生成する脳 (ちくま新書) (新書) 哲学チックな問いの割りには言葉の使い方が曖昧で、読み通すのにちょっと苦労する。例えば、「意識とはなにか」と問うているのに、問いの対象を規定していないので、読…

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作者:清水 義範レビュー: 行儀よくしろ。 (ちくま新書) (新書) 「学力低下」という切り口から入り、教育問題を学校教育だけではなく、社会での教育という視点から書いている。「近頃の若者はいかん!」という単純なものいいではなく、良いところは良いと認…

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作者:沼上 幹レビュー: 組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために (ちくま新書) (新書) 本書の帯には「さようなら、社内評論家!」とあるが(2003年初版)、いまや職場には評論家さえいなくなった感が強い。評論する意欲があるということは、それだけ会…

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作者:東郷 雄二レビュー: 打たれ強くなるための読書術 (ちくま新書) (新書) 最近の若者は、知的に打たれ弱くなっており、本に書いてあることを鵜呑みにする、本の内容に自分から疑問を呈しないなどの、受動的読書を行っている。その結果、「ものごとには常…

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作者:西村 肇レビュー: 見えてきたガンの正体 (ちくま新書) (新書) まず特筆すべきは、著者西村肇氏はずいぶん医者を信用しておられないらしく、そのような記述が随所に出てくる。そんな著者だからこそ、医者も知らないであろう免疫や遺伝子の話を、素人に…

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作者:上野 俊哉レビュー: カルチュラル・スタディーズ入門 (ちくま新書) (新書) 著者が強調するのは、カルチュラル・スタディーが特定のディシプリンに縛られない、開放系の学問ー実践だということである。だが開かれたものであることと、無規範なことは違…

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作者:島田 裕巳レビュー: 不安を生きる (ちくま新書) (新書) 不安とは何か? それを宗教学的知見や、該博な知識から考察する。時事問題も多く取り上げられており、三木谷氏のバックボーンやその父である経済学者、ゴジラ松井の父親とその信仰など本書で初…

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作者:野田 敬生レビュー: 心理諜報戦 (ちくま新書) (新書) 本書を読んでいると、世界のあらゆる発言、出来事はプロパガンダではないかと穿った見方をしたくなってくる。とにかく、自分に都合がよくなるように情報機関は情報を発信する。事実であれ、欺瞞情…

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作者:岩田 規久男レビュー: そもそも株式会社とは (ちくま新書) (新書) 私は、株式会社についての知識がほぼ0の状態で本書を読みました。筆者の主張とその主要な根拠に関してはクリアに理解できたものの、若干の細部はある程度の知識を前提にして書かれて…

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作者:加藤 祐三レビュー: 幕末外交と開国 (新書) 当時の幕府はペリーの砲艦外交に屈服し無理矢理開国させられたというのが一般的に考えられているイメージであるが、この本を読むと幕府は一年前よりペリー来航の情報を在出島のオランダ商館長の報告によっ…

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作者:池田 清彦レビュー: やぶにらみ科学論 (ちくま新書) (新書) この本には,地球温暖化論がいかにいかがわしく,定期検診がいかに病気を作るかがきちんと書いてある。そんなのウソだと思うなら騙されたと思って読んでみよう。その文章はわかりやすく,断…

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作者:谷岡 一郎レビュー: 40歳からの知的生産術 (ちくま新書) (新書) こうしたハウツウ本はあまり手を出さない方だが、以前、著者の『社会調査のウソ』(文春新書)を一読して感心した覚えがあり、同じスタンスで書かれたものなら面白いはず、と期待して目…

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作者:高田 里惠子レビュー: グロテスクな教養 (ちくま新書(539)) (新書) 若い人には辛い本かもしれない。1989年には完全に崩壊してしまったが、かつて人文主義的な教養の伝統というやつがあったのだ。その重みを知る人にとっては、じつに面白い一冊。おそ…