Book Review!


作者:高澤 秀次


レビュー: 戦後日本の論点山本七平の見た日本 (ちくま新書) (新書)

山本七平を、正確に戦後日本思想史に位置付けるのは、極めて困難な作業である。
右派と左派、保守と革新、前近代と近代、伝統主義と合理主義、アカデミズムと大衆という分類をいとも簡単に(ペンネームも使いながら)乗り越えて思索を続けた人物だからである。様々なジャンルで言論活動を行った山本であるが、本書が注目しているように、天皇論/天皇制論こそ山本の中で最も複雑な問題である。山本の思索そのものにも、首尾一貫されていない部分もあり、理解は困難を極めるが、著者はそこを丁寧に解きほぐしている。いずれにせよ、イデオロギーの対立が不毛な現代で日本人を論じるなら、山本七平こそ冷静に再評価すべき思想家であるとの認識を強める好著であった。


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