Book Review!


作者:高瀬 淳一


レビュー: 「不利益分配」社会―個人と政治の新しい関係 (ちくま新書) (新書)

今後の経済の低成長、巨額の財政赤字、人口減少が進む中で、政治の役割というのは、利益分配から不利益分配へ変わっていくということを前提に、政治のあり方を論じている。特にこの政治に関する潮流の変化を敏感に感じ取って田中角栄に源を発する金権政治と決別し、大きく不利益分配の方向へ舵を切った小泉前首相の政治手法の評価にページを割いており、良くも悪くもこれからのリーダーは、小泉さんを基準に自分自身のリーダーシップの取り方を考えざるを得ないし、その他の人たちもリーダーを小泉さんと比較して評価していくだろうと予測している。その上で重要なのがマスメディアとの関係で、「見せる政治」を大前提として、さらに「魅せる政治」が必要だとしている。政治を舞台に喩えて、きちんとリーダー??!
?役割を演じきれる人間でないとこれからの首相は務まらないとしている。最後に、一般国民も政治という劇を見る能力を鍛えなければならないと論じているが、個人的にはこの最後の部分が一番大事だと思う。総論として言うは易しだが、実際、どのように鍛えていくのか、もう少し具体論がほしかった。まあ、ページ数の問題もあるだろうから、次作に期待したい。


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