2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:イタロ カルヴィーノレビュー: 魔法の庭 (ちくま文庫) (文庫) どの短編のプロットにも様々な趣向が凝らされている。蟹だらけの難破船、蛸、パルチザンの兵士や深いプール。死を連想させるオブジェを取り込んで、読むものを不安にさせながら、それでい…

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作者:外山 滋比古レビュー: アイディアのレッスン (ちくま文庫) (文庫) 本屋で見かけ、思わず買った。外山滋比古氏の著作は、今年の一月に「思考の整理学」という本を読んでいるが、いたく感激したことを覚えている。感激もさることながら、こんなにおもし…

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作者:レビュー: 美しい恋の物語 ちくま文学の森 1巻(全10巻) (文庫) たとえばスタンダール、バルザックが描く19世紀フランスの息吹、17世紀の「ポルトガル文」、江戸時代の「藤十郎の恋」……。古今東西、風俗習慣は違っても「恋」に身をやつす人間の姿…

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作者:佐野 洋子レビュー: 神も仏もありませぬ (単行本) ものごころついてから、今まで読んできたエッセイって、いったい何冊位になるのかなぁ?その時々で、泣いたり笑ったり、感動させてもらったけど、これほどしみじみといいなぁと思ったエッセイはありま…

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作者:王 由由レビュー: 夏のすてき (単行本) 淡い色彩で優しく描かれた田中庸介さんのイラストと、穏やかな語り口で綴られた由由さんの文章がなんとぴったりしていることでしょう。大きさといい、大人の絵本という感じ。 暑い夏の日常のささやかな出来事が…

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作者:幸井 俊高レビュー: 漢方的スローライフ (新書) 最近巷でも認知度の上がってきた漢方についての本ですが、医学そのものよりもむしろ、漢方処方の根底に流れる「漢方的思考」を我々の日々の生活に応用するための手引き書という印象です。もちろん、基…

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作者:西部 邁レビュー: 友情ある半チョッパリとの四十五年 (ちくま文庫 に 3-3) (単行本) 西部師と旧友・海野氏との45年の交流を描いた作品。全編を通じて感じられるのは、あの北海道の寂寥感あふれる風景。私も北海道の出身だが、あの何とも言えず寂しく…

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作者:つげ 義春レビュー: つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む (ちくま文庫) (文庫) つげ義春の漫画のコレクションです。つげさんの漫画は、一種独特な雰囲気があり、とても面白かったです。グロテスクなファンタジックな作品や、平凡な夫婦の日常を描い…

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作者:北大路 魯山人レビュー: 春夏秋冬 料理王国 (ちくま文庫) (文庫) 有名な北王路魯山人。テレビの何でも鑑定団でよく聞く人だなくらいの知識しかありませんでした。しかし、やはり名を残す人は違います。食べるものでも、ヒキガエルはともかくサンショ…

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作者:上野 敏彦レビュー: 新編 塩釜すし哲物語 (ちくま文庫) (文庫) 東日本大震災の被災地の復興はまだまだ進んでいない。その中で、「すし哲」の白幡さんは、津波でヘドロとガレキに埋まった店をピカピカに磨き上げ震災50日後には営業を再開した。その時…

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作者:興津 要レビュー: 江戸小咄女百態 (ちくま文庫) (文庫) 江戸の人口は圧倒的に女性が少なかったという。そのために女性は大事にされたし、男は独身が多く、あきらめとぼやきも多い。女性はというと、それに比べると良い思いをしていたのだろうが、それ…

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作者:山田 風太郎レビュー: 修羅維新牢 山田風太郎幕末小説集 (ちくま文庫) (単行本) 所謂グランドホテル方式で官軍に斬首されることとなった幕臣たちの運命を描いた連作長編。エピソードの一つ一つが波乱万丈で面白いだけに、翻弄される登場人物たちの運…

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作者:木村 泰司レビュー: 名画の言い分 (ちくま文庫) (単行本) 美術鑑賞の入門書ですがちょっとした、西洋歴史入門でもあります。なので、歴史に興味のある人には意外と受けがいいのかもしれません。絵画の背景が歴史上の出来事にある事例が、多数紹介され…

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作者:切通 理作レビュー: 宮崎駿の“世界” (ちくま新書) (新書) 私が読んだ限りでは、今まで宮崎駿作品を何気なく見ていた人のための良き入門書ではないかと思いました。稲葉振一郎さんの本ほど難解でなく、雑誌の記事よりまとまっています。 深読みは横に…

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作者:目崎 茂和レビュー: 図説 風水学―中国四千年の知恵をさぐる (単行本) とらえどころなく感じられる風水について、わかりやすく説明されています。本書は「開運」を目指すものではありませんが、風水で開運したい、という方には、客観的な資料として一…

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作者:谷川 俊太郎レビュー: 詩めくり (単行本) やっぱりこういう本は中身を見て購入したかった・・・と思わされた物でした。私自身が期待していたような詩集では無かった事が原因ですが、私自身アイダミツオさんの詩のようなシンプルかつ心に感じやすいも…

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作者:橋本 治レビュー: ちゃんと話すための敬語の本 (ちくまプリマー新書) (新書) 日本語という、「敬語になりそうなところはかたっぱしから敬語にしてしまう」面倒くさい言葉をつかって生きる私たちのための本。なんで、そんなメンドウなことになったのか…

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作者:枝元 なほみレビュー: 枝元なほみの料理がピッとうまくなる (単行本) 枝元なほみ、という人に肩書きをつけるのは難しい。メディアの中で料理をしながら、いつもいつも楽しそうに、幸せそうにしている姿は、既存の「料理研究家」の枠にはあてはまらな…

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作者:レビュー: 森の野鳥を楽しむ一〇一のヒント (単行本) 日本林業技術協会が毎年出している「100不思議」シリーズ(ここのところ100不思議というタイトルじゃないのばかりだけど)。ことしは、これだ。「森の野鳥」というタイトルなんだけど、とくに「森」…

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作者:米原 万里レビュー: 言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫) (文庫) 面白いです。プラハの学校時代の話、その影響、通訳者としての仕事、その心構え。「絞め殺したくなる」といった表現すら、愉快な感じがします。本当に、貴重な方を亡くした、社…

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作者:柳川 範之レビュー: 独学という道もある (ちくまプリマー新書) (新書) 大学入学前に読んでいただきたい書籍です。著者の『独学』という経験を通じた考える習慣の形成過程が素直にわかりやすい文章で記されているなあ、というのが私の感想です。若い人…

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作者:木村 衣有子レビュー: もの食う本 (ちくま文庫) (文庫) 食べものについて書かれた40余種の本を俎上にのせ、きらりと光るフレーズを抜き出し、著者らしい切り口で料理してみせた書評エッセイ。全体に漂うのはどことなくアンニュイな渇いた雰囲気。まだ…

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作者:土居 丈朗レビュー: アリとキリギリスの日本経済入門 (単行本) なんと、全ページにカラーのファッション雑誌風イラストあり。昆虫もキャラクター化されて親しみ易く、その意味では大人の絵本。絵本といっても、さすがに子供向けとは言えませんが、中…

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作者:塩野 米松レビュー: 手業に学べ 技 (ちくま文庫) (単行本) 現代では、「ただ、生きる」。が理屈が入ってきて幸福追求権となり醜悪になってしまった。ここには、13人の手仕事の人たちが訥々と語ってくれた聞き書きが収録されている。手仕事とは、自…

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作者:T.G.E. パウエルレビュー: ケルト人の世界 (単行本) ケルト人関連ではじめての学術論文だったそうで、雑誌の特集記事的な雰囲気があるヘルムの「ケルト人」より先に読めば良かったかも。図版が豊富で、一般読者をも意識しているため、広汎・多岐の内…

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作者:中里 介山レビュー: 法然行伝 (ちくま文庫) (文庫) 『大菩薩峠』を当然の様に読み切れなかったのでこちらに挑戦。「法然行伝」は結構に原作に忠実そうな内容で、きちんとした法然の戦歴の数々が年代順に並んでいて、そうだろうなあ、というもので、う…

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作者:小原 玲レビュー: マナティに会いたい (単行本) この本を読むまで、マナティという動物を身近には感じられませんでした。マナティとの不思議な出会いを、文と写真で素敵に教えてくれる本です。この本を読んでどうしてもマナティと触れ合いたくて、実…

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作者:石原 千秋レビュー: ケータイ小説は文学か (ちくまプリマー新書) (新書) 「ケータイ小説は文学か」、まさにそれが知りたくて読んだが、結論を言えば、読み終わってもその疑問は残ったまま。代表的な(よく売れた)ケータイ小説のあらすじを紹介しつつ…

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作者:鮎川 哲也レビュー: りら荘事件 (創元推理文庫) (文庫) そもそもは1956-57年に『探偵実話』に連載されたもの。多くの版があり、どんどん加筆修正されていっている。 鮎川哲也の代表作のひとつで、トリックが大盤振る舞いされている。星影竜三もの。 …

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作者:杉浦 日向子レビュー: うつくしく、やさしく、おろかなり―私の惚れた「江戸」 (単行本) 杉浦日向子氏の十数年にわたる血液の難病とのたたかいを知ったのは 亡くなる少し前だった。テレビで拝見していた限りでは その片鱗を少しも感じられなかった。で…