2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

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作者:太宰 治レビュー: 太宰治全集〈6〉 (ちくま文庫) (文庫) 太宰治は「人間失格」「斜陽」が何よりも「代表作」で、これに「ヴィヨンの妻」とか「走れメロス」が続く感じだろうか。それは否定しないが、個人的には、やや荒み切った勢いで書いたこれら諸…

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作者:山田 風太郎レビュー: 風山房風呂焚き唄―山田風太郎エッセイ集成 (単行本) 山田風太郎エッセイ集成現代モノ2冊目を読了。もう1冊は「人間万事・・・」。本書はやや小ぶりというのか、生活雑事一般が多いようなところでタイトル通り、独自の展開・発…

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作者:アンジェラ カーターレビュー: 血染め?! ??部屋―大人のための幻想童話 (ちくま文庫) (文庫) 愛するイギリス映画『狼の血族』の原作本。狼人間ネタにとにかく弱い私には『狼アリス』がツボ直撃です。人間世界の底辺で孤独に震える魂と魂の出会い。 更…

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作者:マーティン ルイスレビュー: ニュースになった犬 (単行本) 犬好きの、犬好きによる、犬好きのための本。この表紙同様、内容もユーモラスで、読みながら顔がにやけてしまいます。 更に詳細を見る

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作者:中山 元レビュー: 思考の用語辞典 (単行本) 気鋭の哲学者による哲学入門書。語り口は主に初学者に向けたもので、とてもすらすら読めてしまう。著者の依拠する哲学者は、良い意味でオーソドックスであり、これから哲学をやろうという人や、教養として…

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作者:枡野 浩一レビュー: かんたん短歌の作り方―マスノ短歌教を信じますの? (単行本) 現代語で詠む短歌。一見、かんたん。でも読んでみたら「かんたんではない」ことがわかる。ではどのあたりが難しいのか、現代語で短歌を作るには何に注意しなければいけ…

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作者:梨木 香歩レビュー: ピスタチオ (単行本) 今年これまでの読書体験で、一番こころがときめきました。何かとても大きなものと対峙するときの、緊張と覚醒を主人公と共有し、恋とか性とかを介在させなくても人間同士が深いつながりを持てると再認識した…

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作者:宮沢 賢治レビュー: あまの川―宮沢賢治童謡集 (単行本) 水色の小さな判型の童謡集。賢治ファンには読み慣れたはずの童話や詩から、当代最高の賢治の研究家である、詩人の天沢退二郎さんによって選び出された47編。きらめくようなウタたち。天沢さんに…

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作者:加島 祥造レビュー: 私のタオ―優しさへの道 (単行本) 『老子道徳経』は千年前に伝わっているが、「柔弱−優しさ」を取り上げた人はいなかったのを著者はそれをテーマにしてまとめられている。 神信心や政治思想として取り入れるものではなく、自分の中…

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作者:クリストファー ローレンスレビュー: エジソンに消された男―映画発明史の謎を追って (単行本) 著者は、この謎の発明家の名前と存在を偶然に知り、その失踪の謎を解こうとする。それには映画発明史・技術史を解かねばならず、エジソンを軸とする特許争…

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作者:茨木 のり子レビュー: 言葉が通じてこそ、友達になれる (単行本) 金氏は言う。「韓国では(たとえ夫婦喧嘩の最中でも)別々の布団を敷いて寝ることはほとんど無いのです。日本人は嫌いになるのに時間がかかりますが、一度嫌いになると徹底して嫌いにな…

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作者:松森 果林レビュー: 星の音が聴こえますか (単行本(ソフトカバー)) この本はエッセイという次元を超えている。プロローグから最終章まで、個々のエッセイに起承転結があり、改行一つ一つ良く考えられていて、リズムがあってシリアスだったり、面白…

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作者:東後 勝明レビュー: 新版 英語ひとすじの道 (単行本) 著者は元NHK英会話の先生です。私は初めの版で読みました。新版ということで新章で”その後”的なことが書き加えられております。従来の部分は英語を学ぶものに大いに参考になるもので、Rome was no…

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作者:松浦 理英子レビュー: 裏ヴァージョン (単行本) 物語は突然、アメリカを舞台とした短編小説で始まります。次々に提出される20枚の短編小説とそれに返される批評。それは次第に「挑戦」と「応酬」の形をとりはじめ、エスカレートして行きます。その先…

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作者:永井 淳レビュー: リンクスランドより―イギリス・アイルランド・ゴルフ通信 (単行本) スコットランド、アイルランドのリンクスを著者がラウンドされた体験記なのですが、単なる行動記録になっていてしまって、あまりリンクスのよさ、素晴らしさ、厳し…

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作者:アン スウェイトレビュー: クマのプーさん スクラップ・ブック (単行本) 彼女にクリスマスプレゼントととして送りました。その感想をお聞きください。 プーさん一家のかわいい物語と、やさしい絵で持ってるだけで幸せです。今は、近くに一緒にいれな…

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作者:レビュー: 悠々として急げ―追悼開高健 (ハードカバー) 開高健が亡くなったときに司馬遼太郎は弔辞を読む、これがこの本の冒頭に掲げられる。この本には生前彼と付き合いのあった作家、経済人、ジャーナリスト、写真家、編集者などから寄せられた彼の…

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作者:小池 滋レビュー: 鏡よ、鏡よ―イギリス文学人物事典 (単行本) 有名なあの物語には、実は、こんなメッセージが描かれていた・・・。誰しもが知っている物語から、知られざる物語まで、26名の物語の登場人物から垣間見る、人間の心理とは?昔も今も実…

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作者:佐野 洋子レビュー: 神も仏もありませぬ (単行本) ものごころついてから、今まで読んできたエッセイって、いったい何冊位になるのかなぁ?その時々で、泣いたり笑ったり、感動させてもらったけど、これほどしみじみといいなぁと思ったエッセイはありま…

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作者:山田 風太郎レビュー: わが推理小説零年―山田風太郎エッセイ集成 (単行本) 山風の既刊エッセイ集は、わりあい歳を経てから書かれたものばかりでした。そのため油が抜けきったと言いますか、達観した人生観を淡々と綴った文章が多かったものです。しか…

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作者:アンドルー ソルウェーレビュー: 図解 古代ローマ (大型本) ローマ五賢帝のひとりハドリアーヌスの治世を舞台に、元老院議員の息子ティトゥスが父親と一緒に過ごした大都市ローマの1日の出来事を描いた良書です。 本書の何よりの特徴は、「クロスセ…

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作者:青山 光二レビュー: 食べない人 (単行本) 前半は昭和10年代の筆者青年時代の思い出と、その友人達がいつなくなって、そいつらはどんなやつだった・・・という思い出がつらつらと思い出のままに表現されている印象でした。最初に入り込むのにちょっ…

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作者:坂口 安吾レビュー: 坂口安吾全集〈14〉 (ちくま文庫) (文庫) 昭和6年から22年までに発表した88編のエッセイが発表順に収められている。国粋主義全盛の潮流に抗して戦時中に発表した「日本文化私観」、昭和21年、生きるためには堕落が必要だと…

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作者:梁 石日レビュー: 夜の河を渡れ (光文社文庫) (文庫) この作品で描かれているのは、ヤクザとは言わないまでも、裏の家業で緊張した日々を過ごす在日の同級生コンビのビジネスと日常だ。彼らのビジネスに対する一種の勤勉さ、バイタリティ、そして在日…

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作者:カレン ブリクセンレビュー: 冬物語 (単行本) 良かった。実に素晴らしかった。しかし、このブリクセンの作風は今まで味わったことのない類のものでした。何が違うといって、この人の描く物語の幕切れの手並みは、およそ凡百の作家が束になっても敵わ…

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作者:華恵レビュー: キモチのかけら―My Sixteen Report (単行本) 「小学生日記」の頃から注目している彼女ですが、相変わらず文章が上手い!モデル、タレント等としても活躍中だが、フツウの高校1年生としての日常が巧みに綴られていて、日ごろこの世代と…

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作者:トーベ ヤンソンレビュー: 軽い手荷物の旅 (トーベ・ヤンソン・コレクション) (単行本) 表題作を含め12の短編から成っている“旅”を中心とした大人向けの物語集。物語の主人公達は旅に出る、あるいは出ない。しかし、いつでも“旅”のもつ不安感を背負…

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作者:中里 介山レビュー: 愛蔵版 大菩薩峠 全10巻セット 映画にもなっています。大菩薩峠 (1960年 / 日本 )監督: 市川雷蔵 三隅研次出演: 市川雷蔵 本郷功次郎 中村玉緒 山本富士子『大菩薩峠』は、中里介山作の約30年にもわたり書かれている長編時代…

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作者:山脇 由貴子レビュー: 大人はウザイ! (ちくまプリマー新書) (新書) 教師の立場で読みました。子どもでもいろんなタイプの子がいるので、この本の例がすべてに当てはまるわけではない。しかし、本質的には「子どもと大人が、一人の人間として、尊重し…

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作者:華恵レビュー: 本を読むわたし―My Book Report (単行本) PR誌「ちくま」の8月号に,華恵氏と重松清氏の対談(といっても,重松氏が一方的に語りまくっているが)が載っている。「『書きたくないな』と思って自分の都合のいいことばかり書いている…