作者：永江 朗レビュー： 不良のための読書術 (ちくま文庫) (文庫) 単行本で刊行されたのが９７年。まだ（日本では）ネット揺籃期なのでちょっと情報的に古くなっているところはありますが割りと面白い読書術・出版業界論です。本は「タッチ・アンド・バイ」…

作者：柳田 国男レビュー： 柳田国男全集〈21〉故郷七十年・海上の道 (単行本) 夏休み等の長い休みを利用して熟読すべきです。この本は日本が世界に誇ることのできる本の中の一冊と言えるでしょう。教養のためには欠かせません。なので、今読もうかどうか迷…

作者：小川 洋子レビュー： 沈黙博物館 (ちくま文庫) (文庫) 博物館を作りたいという老婆を主人公の青年がサポートしていく物語です。何を陳列するか・・そこがこの物語のポイントになります。それは、タイトルから判るように沈黙しているものになります。そ…

作者：春風亭 小朝レビュー： 言葉の嵐 (単行本) 読みやすく含蓄が深い良い本です。特にコンプレックスに関する記述は人間の複雑さを良く表していると思う。各項目は短いので電車で読むのにも良いと思います。しかし、僕は筆者自身のファンというわけではな…

作者：レビュー： 裸の王様 アジア編 (大型本) 沢木耕太郎が「深夜特急」でユーラシア大陸横断をしてから、幾多の若者がその道程をなぞってきた。 沢木氏は、紀行文という形で我われに、濃密なアジアの空気を再現してくれたが、寝転びギョラニストは、「魚眼…

作者：吉村 昭レビュー： 炎天 (単行本) 歴史小説作家，吉村昭氏の句集である。吉村氏は「俳句が好きなのは，視覚を満足させる句に出会うことが楽しいからだ」という。その代表としてあげる句が次の句である。「人形の足袋うち反りてはかれけり」 高浜虚子「…

作者：小玉 武レビュー： 『洋酒天国』とその時代 (単行本) サントリーのPR雑誌編集者・寄稿者を軸に、時代背景と編集四方山話が語られる。結果的として小粋な昭和文壇史の誕生だ。著者は山口瞳に力点を置いているが、やはり経営者の佐治敬三との関係から言…

作者：清水 義範レビュー： 冬至祭 (単行本) 仕事一筋で家庭はすべて妻任せの夫。人生に挫折し、息子に期待をかけることが生甲斐の妻。母親の期待が重圧になり、不登校や自殺未遂をしてしまう中学生の息子。バラバラの家庭が、息子の不登校をきっかけに再生…

作者：Stephen A. Wainwrightレビュー： 生物の形とバイオメカニクス (単行本) この本は 生物の本である。しかし、内容は 実は構造力学や 材料力学のそれに近い。つまり、生物屋さんによって書かれた 技術屋さんのための本という捉え方が出来る。そういう視…

作者：川村 二郎レビュー： いまなぜ白洲正子なのか (単行本) 著者が白洲正子を美化している傾向があり、読んでいて落ち着かない。内容も「白洲正子自伝」など、既刊本からの稚拙な切り貼りといった調子で、その上時々「この名言、要チェック！」みたいな感…

作者：小川内 初枝レビュー： けもの道 (単行本) 再婚の連れ子同士の恋（けもの道）や、母親の不倫相手との恋（二十年の電話）。根底には親らしいことをしてくれない母に対する、娘の愛憎があるのだろう。「けもの道」の旅行の描写や、排泄に伴う感情の再燃…

作者：石原 千秋レビュー： テクストはまちがわない (単行本) 受験ものや｢テクスト論｣で知られる作者の論文集ですが、ずっしりとした手ごたえの本書には他の著作(主に新書)を読んだ後に感じる、絡んでいた糸が解けたようなカタルシスをあまり味わうことがで…

作者：長山 靖生レビュー： 偽史冒険世界―カルト本の百年 (ちくま文庫) (文庫) 明治・大正・昭和初期の日本のトンデモさん達が紹介されている。トンデモは現代に始まったものではなく、いつの時代にもいるものだ。近代日本のトンデモさん達は、現代のトンデ…

作者：森 荷葉レビュー： きものレッスン (にこにこブックス) (単行本) 普通に普段の着物が着たい。でもどう揃えたらいいんだろうって時におすすめします。最低これは必要、これは便利っていうアドバイスが載ってて、これは呉服屋さんでは教えてくれない！い…

作者：下川 耿史レビュー： 極楽商売―聞き書き戦後性相史 (単行本) 敗戦から急激な経済成長を成し遂げた日本。それと比例するように盛り場で興ったさまざまな風俗産業たち。そんな裏の戦後日本史を知ることができる貴重な一冊。新宿２丁目のゲイバーや個室喫…

作者：水村 美苗レビュー： 日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で (単行本) どうも読後感のよくないものが残った。学ぶことも、なるほどと思わせられたところもいっぱいあるのに、どこかにいやーな感じが付きまといました。たぶん、文章の中に著者のエリート…

作者：小川内 初枝レビュー： 緊縛 (単行本) 果たして、彼女は「緊縛」されたいのか？されたくないのか？誰かを「緊縛」したいのか？したくないのか？出来ないのか？意識的に「緊縛」したことがあるのか？その時何を思ったのか？生きていく中で、無意識的に…

作者：俵 万智レビュー： 恋する伊勢物語 (ちくま文庫) (文庫) 平安時代の貴族たちの間で、結婚していようがいまいが不倫は公認。男が好きな女のところに通い、飽きたら他へ・・・というのはなんともおおらかに見えます。だけど、一生身のこなしや教養を磨き…

作者：群 ようこレビュー： 世間のドクダミ (ちくま文庫) (文庫) 群さんの文章は易しい、読みやすい、完結明瞭。それ故、「この位の文章なら書けそう」って気がしてしまうかもそうは問屋が卸さない。エスプリが効いていながら、それが小ざかしくなく、かなり…

作者：伊藤 比呂美レビュー： ミドリノオバサン (単行本) カリフォルニアでモンスーン気候をつくりだそうと霧吹きに精を出す50代の著者。独特の口語体で紡がれる植物についての思い。この口調が非常に情念的で怖い。かつ魅力的だ。 更に詳細を見る

作者：串間 努レビュー： チビッコ三面記事 (単行本) 金持ちの子しか買えない憧れのオモチャには危険物質がガンガン使われていたり、子供に教育を受けさせない親が少なくなかったりなど、昔のほうがデンジャラスじゃないの？って言いたくなる。現在でも格差…

作者：石川 啄木レビュー： 石川啄木全集 (第8巻) (単行本) 啄木は「日記」を読むと、がぜん面白くなる。啄木の業行はダメ男ぶりを発揮すればするほど、ある瞬間、すぽーんと突き抜けたような現実逃避をやらかすわけで、そのキレてしまう様子が哀しくもあり…

作者：志賀 泉レビュー： 指の音楽 (単行本) 太宰治賞受賞ということで読みました。轢死した聾唖の少女の残した手話によるメッセージ、「達雄」の持っていたその少女のものだと言うホルマリン漬けにされた肉片、移動式茶室のプロジェクトを立ち上げた「らい…

作者：谷川 俊太郎レビュー： 詩ってなんだろう (単行本) 文字を読むのが苦痛でしょうがない小学２年の娘。なんとか本の面白さを伝えたい母。音読の宿題を終えてげっそりしているところに知らん顔してこの本を声に出して読んでみるとたちまち興味を持ってき…

作者：安間 繁樹レビュー： 琉球列島―生物の多様性と列島のおいたち (Tokai library) (単行本) 琉球列島は，生物地理学的にかなり特殊な生物相を有しているが，北方系の生物と南方系の生物がどのように琉球列島に侵入してきたかがまず紹介されている。琉球列…

作者：瀬川 深レビュー： チューバはうたう―mit Tuba (単行本) あなたがチューバを吹く人であっても、吹かない人であっても、あるいは楽器の類いにふれた事がなくても、この話は面白く感動のような爽快感が得られると思います。２６歳の女性という設定の文体…

作者：白石 雅一レビュー： 自閉症・アスペルガー症候群とこだわり行動への対処法 (単行本) 療育には門外漢の私ですが、第一章から本当に面白い！と思いました。自閉症のこだわり行動の第一人者である著者は、自閉症のこだわり行動を１．変えない、２．やめ…

作者：浅川 哲也レビュー： 知らなかった！ 日本語の歴史 (単行本（ソフトカバー）) 日本語はオペラに向いている。言語は開音（かいおん）節構造と閉音（へいおん）節構造に分けられるそうです。などなど。カタカナは、奈良時代に僧侶が経典の注を書くために…

作者：片岡 義男レビュー： 日本語の外へ (単行本) この片岡義男という作家の小説を、僕は二十代の前半によく読みました。そのときに、なぜ、この作家は、くどいほどに言葉を積み重ねるのだろうと考えていましたが、その理由がこの本を読んですべてわかりま…

作者：レビュー： 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集〈平成19年版〉 (単行本) 試験1週間前に過去3年分を解きました。結果としてやってよかったです。特に法令に関しては(2種)、H18より難化し、出題範囲が広くなっていましたので。おかげで法令でぎりぎり…