2013-01-01から1年間の記事一覧

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作者:ドン ウィンズロウレビュー: ストリート・キッズ (創元推理文庫) (文庫) 表紙に惹かれてつい買ってしまった私ですが、この本は非常におすすめします!なぜかというと・・・まず第一に探偵ニールの魅力。ナイーブな心と不幸な生い立ち、天性の才能(探…

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作者:中町 信レビュー: 空白の殺意 (創元推理文庫) (文庫) 1980年にトクマ・ノベルズから『高校野球殺人事件』として出たものの改題・復刊。 東京創元社から復刊されているシリーズの第3弾だが、前作までとは違って、あっと驚くようなトリックは仕掛けら…

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作者:江戸川 乱歩レビュー: 幽霊塔 (春陽文庫―江戸川乱歩文庫) (文庫) 江戸川乱歩が持ち味を遺憾なく発揮した一冊。 おどろおどろしさ、謎の美女、超科学、陰惨な殺人、迷路。そういった要素が渾然一体となって、魅力的なストーリーを織りなしている。乱歩…

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作者:モーリス・ルブランレビュー: リュパン対ホームズ (創元推理文庫 107-2 アルセーヌ・リュパン・シリーズ) (文庫) 作者のモーリス・ルブランは、自身の創った怪盗紳士リュパンの敵役としてイギリスの超有名な探偵ホームズを自分の作品に登場させました…

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作者:ビル プロンジーニレビュー: 裁くのは誰か? (創元推理文庫) (文庫) 驚愕のラストなどといったって、たいしたことがない、この程度は予想がついたぞ、なんていうことはママありますが、この本に限ってはそんなことはない。 とにかく普通に読んで、最後…

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作者:笠井 潔レビュー: 薔薇の女―ベランジュ家殺人事件 (創元推理文庫) (文庫) 矢吹シリーズの第三作。本作は他の矢吹シリーズと比べてミステリーとしての完成度はいまいちかもしれません。しかしこの作品の目玉はジョルジュ・バタイユとの思想対決でしょ…

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作者:レイ ハリスンレビュー: デスウォッチ (創元推理文庫) (文庫) 今回は、前巻に出てきたキャサリンが再び登場。モートンとちょっといい感じになるのだが、彼は別の女性に夢中である。ブラッグは実に不幸と言わざるを得ない。身に覚えのない罪を着せられ…

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作者:都筑 道夫レビュー: 退職刑事 (1) (創元推理文庫) (文庫) 主人公は、書名のとおり定年退職をした元刑事。息子の現職の刑事のところにきては、いま関わっている事件のことを話させ、たちどころに真相を見つけ出してしまう。典型的な安楽椅子探偵ものの…

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作者:天藤 真レビュー: 死の内幕―天藤真推理小説全集〈3〉 (創元推理文庫) (文庫) 内縁の妻のグループであるIGグループ。その中の一人が誤って内縁の夫を殺してしまった。GIグループは目撃者を装い、架空の犯人を仕立てあげようとするが、何と証言とソック…

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作者:竹本 健治レビュー: 囲碁殺人事件 (創元推理文庫) (文庫) マンガやアニメなどで、囲碁に興味をもった読者に、さらに読んでもらいたい。囲碁の世界を舞台とする、不気味な殺人事件の物語である。作者は、知能指数の高いだろう推理作家達の中でも、有名…

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作者:紀田 順一郎レビュー: 古本街の殺人 (創元推理文庫) (文庫) 『鹿の幻影』(1989年の単行本、1994年の創原推理文庫)を改題して、再び創原推理文庫から刊行したもの。 この人の作品は、どのあたりに面白さがあるのか、いまいち分からない。私は古本マ…

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作者:ヘニング マンケルレビュー: タンゴステップ〈下〉 (創元推理文庫) (文庫) 舌ガンを患っている刑事ステファン・リンドマンは、かつての同僚で、スウェーデン北部の森の中で隠居生活を送っていたヘルベルト・モリーンが惨殺されたことを知る。病の不安…

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作者:愛川 晶レビュー: 化身 (創元推理文庫) (文庫) 愛川さんの作品は初読だったのですが、文章が適度に軽く、スピード感もあるので、一気読みでした。主人公の人見操は19歳の女子大生。中学の時に母を、半年ほど前に父を亡くし、一人暮らしをしていたが、…

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作者:ロバート ゴダードレビュー: 石に刻まれた時間 (創元推理文庫) (文庫) この作品、ここのレヴューでも、また他の書評においても、「ゴダードにしては・・・」と不評のようです。私も、読み始めてしばらく、不評を納得していました。しかしながら、中盤…

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作者:若竹 七海レビュー: 競作五十円玉二十枚の謎 (創元推理文庫) (文庫) 1993年に『創元推理』の別巻として出た単行本の文庫化。多少、手が入れられているらしい。 若竹七海氏が実体験した謎を、7人のプロと6人のアマチュアが解き明かそうとしたもの。…

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作者:ロバート ゴダードレビュー: 千尋の闇〈上〉 (創元推理文庫) (文庫) ゴダードを読もうとする人には、最もお薦めの1冊である。現時点でゴダードは14の作品を生みだし、そのうち13作が邦訳で読める。この「千尋の闇」はそのゴダードの1986年に出さ…

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作者:ヒラリー ウォーレビュー: 事件当夜は雨 (創元推理文庫) (文庫) 警察小説とは「警察が地道な捜査で犯人を割り出していく」過程を描いた小説ですが、これが本格謎解き小説とは別の味わいがあり、面白い。読んでる内に自分まで参加している気になるので…

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作者:岩崎 正吾レビュー: 探偵の秋あるいは猥の悲劇 (創元推理文庫) (文庫) 1990年に出た単行本の文庫化。探偵の四季シリーズの第2作。 モチーフになっているのは『Yの悲劇』。しかし、それ自体がひっかけになっており、どんなに注意していても、幾重に…

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作者:リチャード ハルレビュー: 他言は無用 (創元推理文庫) (文庫) 紳士の憩いの場であるクラブでおきた、料理人のミスによる事故。人命にかかわるまでになってしまい、クラブの体面を気にする幹事は、医者を味方につけてウヤムヤのうちに事態を収拾してし…

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作者:江戸川 乱歩レビュー: 妖虫 (創元推理文庫) (文庫) 犯人逮捕!と思いきや、そんなあっさり捕まるわけがありません。名探偵は犯人に行く手を阻まれ苦労します。さすが乱歩って感じの話です。「赤いサソリ」が不気味・・・。 更に詳細を見る

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作者:芦原 すなおレビュー: ミミズクとオリーブ (創元推理文庫) (文庫) 八王子の郊外のミミズクが遊びにくる一軒家で主人公と奥さんは暮らしています。主人公は作家で、奥さんは和服のお仕立てをしたりしているので、出歩いたりすることなんかはほとんどな…

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作者:クリストファー・バックリーレビュー: ニコチン・ウォーズ (創元推理文庫) (文庫) 映画化されるというので映画を見る前に原作を読みました。映画では、タバコロビイストの広告部長のニックと息子のジョーイの関係を重点的に描いていましたが原作では…

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作者:ハドリー・チェイスレビュー: その男凶暴につき (創元推理文庫 133-20) (文庫) ストーリー展開もはやく、次々と新たな事件が重なり合っていきます。善悪、多くのキャラクターが登場し、三人称で綴られていく文章。サスペンス特有のドキドキ感とは別に…

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作者:ヘニング マンケルレビュー: リガの犬たち (創元推理文庫) (文庫) 主人公が偶然かかわるようになった人たちのために、迷い、混乱しながら、深みにはまっていく姿にはハラハラさせられた。特にスウェーデンからラトヴィアへ、海路と陸路を使って潜入す…

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作者:ピーター ロビンスンレビュー: Wednesday's Child: An Inspector Banks Novel (Inspector Banks Novels) (マスマーケット) 7才の少女ジェンマが自宅からソーシャル・ワーカーを名乗る男女2人組に連れ去られた。なぜジェンマが狙われたのか、どうし…

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作者:ピーター ロビンスンレビュー: 罪深き眺め (創元推理文庫) (文庫) それほどキレ者というわけではなく、いかにもいそうなおじさんのバンクス警部。のぞき魔の心情を理解するため協力を仰いだ女性の心理学者に揺れ、「俺には妻も子も!」と思いとどまる…

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作者:フェイ ケラーマンレビュー: 慈悲のこころ〈上〉 (創元推理文庫) (文庫) あのシェイクスピアが主人公となり、友人の死の真相をさぐったり、ユダヤ人の美しい娘と恋に落ちたりと大活躍する物語です。…というと「恋に落ちたシェイクスピア」にそっくり…

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作者:シャーロット・アームストロングレビュー: 魔女の館 (創元推理文庫) (文庫) Charlotte Armstrongの『The Witch's House』(1963年)の翻訳。 1996年にトパーズプレスから出た単行本の文庫化。訳文などに手が入れられているという。 実にアームストロ…

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作者:マイケル ナーヴァレビュー: ゴールデンボーイ (創元推理文庫) (文庫) 前著『このささやかな眠り』に続く、弁護士リオスが活躍する第二弾。疑う余地もないほど状況に追い詰められた被疑者を、リオスの親友が弁護してくれという場面から始まる。 この…

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作者:江戸川 乱歩レビュー: 三角館の恐怖 (江戸川乱歩文庫) (文庫) 江戸川乱歩の作品は、やりすぎって思う場合も。おもしろいんだけど、奇想天外だったり。でも、この作品は、翻案小説で。(翻案とは、翻訳のように忠実に訳すのではなく、自分なりに味付け…