Book Review!


作者:ヒラリー ウォー


レビュー: 事件当夜は雨 (創元推理文庫) (文庫)

警察小説とは「警察が地道な捜査で犯人を割り出していく」過程を描いた小説ですが、これが本格謎解き小説とは別の味わいがあり、面白い。
読んでる内に自分まで参加している気になるのです。
この作品では、読者は警察と同じ目線に立って読み進めます。
事件のつくりかたがまたうまい。残された証拠はいろんな解釈を可能にするものだし、容疑者も一見素直そう、だが疑えばいくらでも怪しそうに思える。
警察は推論を立てて、ああでもないこうでもないと可能性を潰していく。
その過程がリアルに描かれます。
八方塞がりのように見えた状況に光明が指す場面は感動的。
でも犯人が判っても別の謎が残るという周到ぶり。さすが古典的名作、手堅く面白いです。
ただし、捜査側の署長や部??!
??事のキャラはあまり掘り下げられていません。
主人公に等身大の魅力を与えるということを、作者は意図しなかったのかな?
それがシリーズものの一作なのに、なぜか単独作のように扱われる(?)理由かもしれませんね。


更に詳細を見る