2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

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作者:工藤 和代レビュー: Natural―工藤和代のドールハウス (単行本) 1枚の写真を部分的にぼかすというのは最近のトレンドなのかもしれませんが、人形の家のように、細かい部分までじっくり見たいものにまでこれをやられるとイライラしてくる。こういう細…

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作者:牧野 富太郎レビュー: 植物一日一題 (ちくま学芸文庫) (文庫) 日本の近代植物学の父・牧野富太郎氏の随筆集。植物に関する題材を百集め、一つ一つに自身の植物学者としての考え方と心情を吐露したもの。この文庫版は、図版も写真も全部ちゃんと載って…

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作者:大内 伸哉レビュー: 雇用はなぜ壊れたのか―会社の論理vs.労働者の論理 (ちくま新書) (新書) 基本的な労働問題を、労働者側の視点、経営者側の視点および公益側の視点(この視点は明示されていませんが、著者の立場がこれに当たります)の3つの視点か…

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作者:オギュスタン ベルクレビュー: 風土の日本―自然と文化の通態 (ちくま学芸文庫) (文庫) 若き日を新宿区戸塚でくらした著者(1942年生)が、1986年にエディシオン・ガリマール社から上梓した上質の日本論『野生と人為(人工)』の邦訳。「風土」、ミリ…

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作者:陳 寿レビュー: 正史 三国志〈8〉呉書 3 (ちくま学芸文庫) (文庫) 呉書も3までくると、さすがにメジャーな人はほとんど登場しませんが、巻末の索引は正史を読むにあたって必須です。 なぜなら、正史は列伝体(個人の伝記の羅列)で書かれており、一人…

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作者:ジャック デリダレビュー: 雄羊 (ちくま学芸文庫) (文庫) 未生、死後の精神がありうるとしたら、また倫理の為にそれはなければならないが、どのような形態をもつか。則ち哲学を終わらせた地点から、それでも哲学を始めるならば、どんな形態の概念があ…

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作者:木下 是雄レビュー: レポートの組み立て方 (ちくま学芸文庫) (文庫) 「自分の意見と事実をうまく書き分けることが重要だ。以下のようなレポートは成功例である」というように、実際のレポートや随筆文を例にあげながら説明しているのでとても理解しや…

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作者:織田 作之助レビュー: 織田作之助 (ちくま日本文学全集) (文庫) 織田作を初めて読んだのが本書。舞台やドラマで有名になり過ぎた「夫婦善哉」のせいで、太宰、安吾に比べて、何となく軽んじていたが、読んでみると、良く出来た作品は、こと文章に関し…

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作者:パトリック バルビエレビュー: カストラートの歴史 (ちくま学芸文庫) (文庫) あまり期待せずに読み始めたのですが、予想に反して興味深く、また、読みやすい歴史書でした。音楽に興味がある人だけではなく、18世紀、19世紀ヨーロッパの歴史に興味…

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作者:上野 千鶴子レビュー: 「私」探しゲーム―欲望私民社会論 (ちくま学芸文庫) (文庫) 序とあとがきを読んで、まず思ったことは、文が非常に拙いということである。まるで話し言葉のようだ。序を読んだ限りやけに古めかしいなと思い、あとがきを読んでみ…

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作者:ミシェル フーコーレビュー: フーコー・コレクション〈5〉性・真理 (ちくま学芸文庫) (文庫) 誤記 訂正7・倫理の系譜学について、の中に頻出する表現。誤:エピメレイア・「べ」アウトウ正:エピメレイア・「へ」アウトウなぞの誤記です。何かと思い…

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作者:司馬 遷レビュー: 史記〈7〉―列伝〈3〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 漢民族は太古から匈奴の侵攻に悩まされてきました。始皇帝は匈奴を破り長城を整備して匈奴の襲撃に備えましたが、漢の高祖は平城で匈奴の大軍に包囲され、屈辱的な講和を結ぶに至りま…

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作者:坂本 敏夫レビュー: 死刑と無期懲役 (ちくま新書) (新書) 著者は死刑消極的支持者というか、”人は変われる”との信念を27年の勤務から感じ取り、近年増えた見せしめ・やっかい払い的死刑には反対の立場にある。 故に本書の内容も死刑に賛成する読者が…

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作者:レビュー: 古代オリエント集 筑摩世界文学大系 (1) シュメール文学は、西アジア文学の中で時代的に最も古く後世の文学に大きな影響を与えているといわれている。神話、叙事詩、王や神への讃歌、知恵、教訓などが日本語で読める本。 更に詳細を見る

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作者:太田 肇レビュー: 公務員革命: 彼らの〈やる気〉が地域社会を変える (ちくま新書) (新書) とてつもなくモチベーションが高い公務員をスーパー公務員と呼び、そのような公務員が存在しなければ地域社会は良くしていけない。今の公務員の人事評価では、…

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作者:宮田 律レビュー: 過激派で読む世界地図 (ちくま新書) (新書) ニュースを聞いていてもなぜ紛争や戦争が起きているのかわからないことが多くありますが、この本は各地の過激派と呼ばれる組織の歴史的経緯や成り立ち、現在の状況などについてわかりやす…

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作者:エルンスト・ハルトヴィヒ カントーロヴィチレビュー: 王の二つの身体〈上〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 「王は二つの身体を持っている」。このようにいわれてどんなことか想像できるでしょうか? 「王が二つの体を持つ」とは、人間としての「王」と、政治体…

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作者:竹田 青嗣レビュー: 「自分」を生きるための思想入門 (ちくま文庫) (文庫) あとがきに「語り下ろし」とあるので、本書は口述を書き起こしたものかもしれない。「自分」と外界、他者との関係をどのように考えるか、他者との関係を通して、どのように自…

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作者:魚津 郁夫レビュー: プラグマティズムの思想 (ちくま学芸文庫) (文庫) プラグマティズムについての入門書。個人的には以下2点で益有。 ・プラグラティズムの伝統的背景 ・パースの業績特にパースについて。のとらえどころのない先駆者について、触れ…

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作者:宮田 登レビュー: ヒメの民俗学 (ちくま学芸文庫) (文庫) なぜ、女が怪力を発するのか。なぜ、女が死ぬ怪談が流行するのか。忌みごもりとは。嫁田とは。橋姫とは。皿屋敷とは。女人禁制の意味は。主婦権の変遷は。どのように、男は女を恐れてきたか。…

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作者:エウヘーニオ ドールスレビュー: プラド美術館の三時間 (ちくま学芸文庫) (文庫) 伊集院静氏「美の旅人」で知った本です。難解です。電子辞書と首っ引きで読みました。でも解説を読むと翻訳は苦労されたそうです。原書はもっと難しいらしいです。プラ…

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作者:松山 巌レビュー: 百年の棲家 (ちくま学芸文庫) (文庫) 10+1の12号で田中純氏が取り上げていたので購入した。「諦めの都市論」とでも言おうか、戦後復興と高度経済成長のなか、人々が諦めていった理想の住空間の幻想を、現実の劣悪な、しかし心地よ…

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作者:初田 亨レビュー: 東京 都市の明治 (ちくま学芸文庫) (文庫) 本書は明治時代に建設された様々な建物がどのような経緯で建設され、誰が関わったかなどが詳しく解説されます。川越の土蔵造り、日本銀行本店を除いて現存しない建物ばかりですが、本書を…

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作者:フリードリッヒ ニーチェレビュー: ニーチェ全集〈4〉反時代的考察 (ちくま学芸文庫) (文庫) ニーチェはその時代に批判的に生きる。何も依頼せず、自分にとって必要な生、歴史、芸術とは何か。俗物が好むような、日本文化人が言うような「デカダンス…

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作者:若桑 みどりレビュー: イメージを読む (ちくま学芸文庫) (文庫) 入門書として買いました。目次に数点の絵画が1章にごとに解説されているのは分かるのですが、初心者向けに他の作品に派生させて書いてほしかった。同時期に高階秀爾さん、森洋子さんの…

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作者:京須 偕充レビュー: 落語で江戸のうらおもて (ちくま文庫) (文庫) なんとも嫌みというか高いところ(著者はそう踏んでるらしい)から見下ろした文章で読み進めるほどに胸焼けがする。所々で自分が江戸っ子だと言い、江戸っ子の気っ風の良さなんかを述…

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作者:フリードリッヒ ニーチェレビュー: 生成の無垢〈下〉―ニーチェ全集〈別巻4〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 「天才と狂気」は本当に紙一重、、、彼の思想は民主主義下の一般市民にはあまりにも危険それでも彼の詩的な散文はきっと「神の声」。ベートーベン…

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作者:大岡 昇平レビュー: 小説家夏目漱石 (ちくま学芸文庫) (文庫) 大岡昇平は世界文学レベルの作家だと存ずるが、久々の復刊となった本書は座談などで見せる闊達さが乏しく、真面目すぎてあまり面白くない。彼の『ハムレット日記』と同じで、大岡としては…

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作者:山中 康裕レビュー: 老いの魂学(ソウロロギー) (ちくま学芸文庫) (文庫) 人は必ず死ぬ。けれどもその人の残した痕跡や香りは個人個人のものであり、個性的である。老いてなおも輝く人たちを主題に心理学に留まらない学びを私達に教えてくれる貴重な一…

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作者:渡辺 実レビュー: 平安朝文章史 (ちくま学芸文庫) (文庫) 文章史という扱いづらい問題に正面から切り込んだ力作。とはいっても、一般読者で内容を理解するのは難しそう。この本では、竹取物語や源治物語、枕草子といった比較的ポピュラーな作品のほか…