Book Review!


作者:司馬 遷


レビュー: 史記〈7〉―列伝〈3〉 (ちくま学芸文庫) (文庫)

漢民族は太古から匈奴の侵攻に悩まされてきました。始皇帝匈奴を破り長城を整備して匈奴の襲撃に備えましたが、漢の高祖は平城で匈奴の大軍に包囲され、屈辱的な講和を結ぶに至りました。本巻所載の匈奴列伝は、匈奴の興亡史ですが、とりわけ面白いのは漢初に出現した冒頓単于の伝記です。冒頓は父の頭曼を殺害して単于になり、近隣の諸民族を平定して一大強国を築きました。決断力と実行力に富む冒頓の苛烈な生きざまはまさに英傑の名にふさわしい。司馬遷の描写も生き生きしています。

武帝のとき、大将軍衛青、驃騎将軍霍去病があらわれて匈奴をさんざん打ち破り、漢は積年の鬱憤をはらしました。しかし、この二将軍の事績については、司馬遷はその戦果を淡々と記述するのみで面白みに欠ける。む??!
?ろ、敵には勇敢に立ち向かい、士卒に慕われながらも、武運に恵まれず自決した李広将軍の生涯を満腔の共感をもって描いています。(司馬遷は李広の孫李陵の匈奴降伏を弁護したため、武帝の怒りにふれ、宮刑という屈辱的な刑に処せられました。)


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