Book Review!


作者:大岡 昇平


レビュー: 小説家夏目漱石 (ちくま学芸文庫) (文庫)

大岡昇平は世界文学レベルの作家だと存ずるが、久々の復刊となった本書は座談などで見せる闊達さが乏しく、真面目すぎてあまり面白くない。彼の『ハムレット日記』と同じで、大岡としては失敗作と言えそう??埴谷雄高との対談本など異様に面白かったなあ! あれは是非復刊すべし。

冒頭の一文はじめ、大学の教養科目の講義や公演などを文章にしたものが多い。講義では、いかに大岡に敬意を抱く者であっても眠ってしまうのではないだろうか。申し訳ないが、評者には講義の退屈さが文章から想像できる。

とは言え、「漱石と国家意識」などには非常に重要な指摘があり、懸命に読む必要がある。

『成城だより』や先の対談でのイメージとして、おしゃべりで好奇心旺盛なおじさんという風に??!
?っていたが、やはり筋の通った頑固な明治の親爺であることは間違いない。講義中に眠っていたらどやされそうだ。


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