2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:レビュー: 婦人家庭百科辞典 上 あ-し (ちくま学芸文庫) (文庫) 昭和12年の家庭用百科事典の文庫サイズでの復刻版です(上巻は、はしがき、執筆者紹介、「あ」から「し」までの各項目)。ひとことで言えばタイムカプセルそのもの、70年近く前の常識や…

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作者:竹田 青嗣レビュー: 現代思想の冒険 (ちくま学芸文庫) (文庫) とても読みやすいです。たくさんの思想を俯瞰し、そのなかで、現代思想がどのような位置づけにあるかを、比較し、位置関係を確かめながら、分かりやすく解説しています。初心者でも思想世…

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作者:イーフー トゥアンレビュー: 空間の経験―身体から都市へ (ちくま学芸文庫) (文庫) イーフー・トゥアンの中で最も読まれるべき著作。『トポフィリア』よりも理論的枠組が明解であり、こちらのほうがお勧め。<場所=愛着>と<空間=自由>の二分法に…

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作者:阿部 謹也レビュー: 中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅 (ちくま学芸文庫) (文庫) ヨーロッパ中世社会にキリスト教が浸透していく中で、人々の関係はどのように変化したのか、というテーマの6論文を収録。挿絵も多少ありますが、基本はがっつりし…

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作者:エドガー スノーレビュー: 中国の赤い星〈上〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 読みやすいわけではないかもしれないが、面白い。僕の先生いわく、ジャーナリストはロマンチストかリアリストに分類される、とのこと。後に中国のために嘘までついた、中国にど…

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作者:長山 靖生レビュー: おたくの本懐―「集める」ことの叡智と冒険 (ちくま文庫) (文庫) 好きなものを,ある思想に基づき,とことん集めぬいた時、そのコレクションは一つの世界をおのずと形成する。それは,文化を支えている,文化そのものともいえるものでは…

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作者:陳 寿レビュー: 正史 三国志 全8巻セット (ちくま学芸文庫) (文庫) ただ『三國志演義』が好きだという人よりも、正史『三國志』の研究や、『三國志演義』研究において正史『三國志』を使用する場合に、サブテキストとして便利な本です。趣味や自己満…

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作者:エドワード ギボンレビュー: ローマ帝国衰亡史〈2〉第11‐16章 ディオクレティアヌスとキリスト教の展開 (ちくま学芸文庫) (文庫) この巻では、キリスト教の発展についての15,16章が、なかなか興味深いところです。当時としても相当な批判があったでし…

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作者:オルテガ・イ ガセットレビュー: 大衆の反逆 (ちくま学芸文庫) (文庫) 大学生の頃だから今から25年ほど前、NHK市民大学の講座テキスト「大衆社会のゆくえ」(著/西部邁)で知り、読みました。大衆とは一般人のことではなく、政治家や学者などの知識…

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作者:ウィリアム モリスレビュー: 理想の書物 (ちくま学芸文庫) (文庫) 内容はレビューのとおり.モリスの思想の結晶が平易な文章でつづられていて,てとも面白い本である.モリスの研究書としても,伝記としても素晴らしいと思う.美しいデザイン画や写真…

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作者:樺山 紘一レビュー: 歴史のなかのからだ (ちくま学芸文庫) (文庫) 西洋史の該博な知識をもとに,人体の各部にまつわるエピソードを語りながら,西洋人が「人間」をどのように捉えて生きてきたのかを浮き彫りにする好著。各国史を超えてヨーロッパ史を…

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作者:高橋 哲雄レビュー: 二つの大聖堂のある町―現代イギリスの社会と文化 (ちくま学芸文庫) (文庫) 1985年に出たハードカバーの文庫化。『みすず』に連載したエッセイを大幅に書き足したもの。普通のイギリス体験記としても読めるが、著者は近現代イギリ…

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作者:レビュー: 原典訳 マハーバーラタ〈5〉第5巻(1‐197章) (ちくま学芸文庫) (文庫) とにかく古代インド最大の叙事詩『マハーバーラタ』が日本語で堪能できるという素晴らしい文庫シリーズです。 わたくし、正直に言って、子供の頃から世界の神話伝説が大…

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作者:ケネス クラークレビュー: 風景画論 (ちくま学芸文庫) (文庫) ちくま学芸文庫で美術史の名著の文庫化が進んでいることは喜ばしい。クラークの著作は美術にとどまらない文学・歴史に関する博識に加え、鋭い観察と洞察が随所にちりばめられ、衒学とは程…

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作者:橋川 文三レビュー: 日本の百年〈8〉果てしなき戦線―1937~1945 (ちくま学芸文庫) (文庫) 開戦70周年ということで読んでみた。戦争経験者の生の声を聞いたこともなかったが、本書は政治家・軍人・文学者・庶民の当時の資料や日記などを丹念に抜粋し、…

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作者:フリードリッヒ ニーチェレビュー: ニーチェ全集〈5〉人間的、あまりに人間的 1 (ちくま学芸文庫) (文庫) フランスのモラリスト、例えば、パスカル、ラロシュフーコーなどに影響されて書き上げた著作。文体は論文形式ではなく、アフォリズムという格…

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作者:レビュー: 韓非子〈上〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) 上巻を読み終えて、人の支配という概念に対峙する法家思想という表現にとどまらず、法制度のシステム化、オートメーション化とか法制度への人間工学の採用のような発想を感じました。また、ビジネス…

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作者:杉本 良夫レビュー: 日本人論の方程式 (ちくま学芸文庫) (文庫) 1982年刊の『日本人は「日本的」か』という本の文庫化。日本人論のイデオロギー的機能を社会学的に分析した本です。様々な手法を駆使しつつ、「日本人論」の胡散臭さを暴き出す。「日本…

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作者:梅田 卓夫レビュー: 新作文宣言 (ちくま学芸文庫) (文庫) èa°§'¨ ̄¢oaè±é¡'¡äè ̄oäa- '¨-èèμ£-…

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作者:フリードリッヒ ニーチェレビュー: ニーチェ全集〈8〉悦ばしき知識 (ちくま学芸文庫) (文庫) 思いがけない視点と、鮮やかな知とが展開されています。ニーチェ思想の根幹が、この本から姿を現します。この本の第五部は、『善悪の彼岸』が書かれたのと…

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作者:ジャン=ポール サルトルレビュー: マラルメ論 (ちくま学芸文庫) (文庫) ボードレールには、手厳しいサルトルだが、マラルメには肯定的である。…神なき「第二王政」後の世に、”詩”を、神代わりとして、かざした人物詩聖マラルメ。 この書の要諦は、P…

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作者:樹下 龍児レビュー: 風雅の図像―和風文様とはなにか (ちくま学芸文庫) (文庫) お茶のお稽古を長年続けている。 そこで目にする漆器の文様、着物の文様等に魅せられていた。 牛車の車輪まで文様化し蒔絵にしてしまう日本人のデザイン力はすごい。 こう…

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作者:L.S. ポントリャーギンレビュー: やさしい微積分 (ちくま学芸文庫) (文庫) ページ数は180ページ程度で、まさに著者が述べているとおり「本は入念に書けば書くほど薄くなり、それだけ書くための労力が大きくなる。大ざっぱに言って、著者が綿密さを2倍…

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作者:フラウィウス ヨセフスレビュー: ユダヤ戦記〈1〉 (ちくま学芸文庫) (文庫) ヨセフスが、唯一無二とも言える貴重な体験を駆使して書いたのがこの「ユダヤ戦記」。新約聖書の使徒たちとほぼ同時代に生きたヨセフスは「裏切り者」としてユダヤ戦争を生…

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作者:アーサー ケストラーレビュー: 機械の中の幽霊 (ちくま学芸文庫) (文庫) 「GHOST IN THE SHELL」「イノセンス」とともに、攻殻機動隊の映画を見て、その哲学的な背景に感動したら、これを読むといいと思います。「上の階層へシフトする」とか、「ゴー…

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作者:木田 元レビュー: 現象学の思想 (ちくま学芸文庫) (文庫) ハイデガー研究者として名高い木田元氏の論文集である。氏には著作も多いが、この本は比較的入手しにくい論文ばかりを集めている。むかし読んだものも含めてあらためて読み直してみると、氏の…

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作者:吉川 幸次郎レビュー: 三国志実録 (ちくま学芸文庫) (文庫) 吉川幸次郎と聞いて新しい本だと思う人はまずいないだろう。私もいろいろな本に参考文献として挙げられている「古典」を読むぞという気持ちで手に取った。読んでみて現在「三国志」特に「曹…

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作者:益田 勝実レビュー: 益田勝実の仕事〈3〉記紀歌謡、そらみつ大和、万葉の海ほか (ちくま学芸文庫) (文庫) 記紀歌謡を「抒情以前の抒情」とみなし、フィクションによって鍛えられたと想定し、古代の歌ごころとその背景のドラマの中に抒情の曙をとらえ…

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作者:辻 惟雄レビュー: 奇想の系譜 (ちくま学芸文庫) (文庫) 興奮しながら一気読みしてしまいました。スリリングでエキサイティング、まるでエンタテインメント小説を読むかのようにページをめくる手が止まらなくなる美術評論です。取りあげられている六人…

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作者:S=A・ステーマンレビュー: 殺人者は21番地に住む (創元推理文庫 (212‐1)) (文庫) 霧深いロンドンの街で起こる連続殺人。犯行現場には必ず〈スミス〉と名が記された名刺が残され“第二の切り裂きジャック事件”と騒がれた。やがて、犯行現場から立ち去る…