Book Review!


作者:パトリック バルビエ


レビュー: カストラートの歴史 (ちくま学芸文庫) (文庫)

あまり期待せずに読み始めたのですが、予想に反して興味深く、また、読みやすい歴史書でした。音楽に興味がある人だけではなく、18世紀、19世紀ヨーロッパの歴史に興味がある人一般にお勧めできます。カストラートとは、幼年期に睾丸摘出手術(もともと、ないという人もいたのでしょうが)を受けたイタリア人オペラ歌手のことです。女性が舞台に上がることを禁じた教皇があったため、男性にソプラノを歌わせる必要が生じてこうした少年たちがイタリアでつくられたのです。作者はこうしたカストラートたちに、興味本位な関心だけではなく、社会、政治、文化などさまざまな角度から光を当てています。映画にもなったファリネッリ(=カルロ・ブロスキ)の人間像がとても魅力的で、同じ著者が書いたファリネ??!
?リの伝記も読んでみたくなりました。
ただ、翻訳者はイタリア語の名前のアクセントをしばしば間違えています。


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