Book Review!


作者:ロバート ゴダード


レビュー: 石に刻まれた時間 (創元推理文庫) (文庫)

 この作品、ここのレヴューでも、また他の書評においても、「ゴダードにしては・・・」と不評のようです。私も、読み始めてしばらく、不評を納得していました。しかしながら、中盤からゴダードらしさが出てきて、謎が広がっていき、一気に読み進めることができました。しかし、やはり後半、不評の原因である、「釈然としない。謎が明かされない」という展開になり、たしかに消化不良を起こします。小説は全ての謎が作品中で解説されることが絶対に必要とされているわけではなく、読者が想像して完結させるという形を取ってもよいと思うのですが、ここまで謎の大風呂敷を広げるのなら、大部分は謎解きをしておいて欲しいです。興に乗ってあれもこれもと書き進んだが、結局、自分で収拾がつかなくなったような??!
?象を与えています(「稀代の語りべ」といいうことなので、事実はそうではないと信じたいですが)。
 また、この本の解説にも少しありましたが、読んでいると、スティーブン・キングの「シャイニング」の臭いがして、どうしても比較してしまいます。解説では「連想はするかもしれないが似てはいない」という事になっていますが、私には根本は同じところにあると感じられました(行き着くところや展開は違いますが)。そして、この手の小説ならゴダードはキングの後塵を拝していると考えざるを得ません。
 言われているほどひどい作品ではありませんが、これがゴダードの秀作に入るかどうかと言われれば、否です。


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