Book Review!


作者:クリストファー ローレンス

レビュー: エジソンに消された男―映画発明史の謎を追って (単行本)

著者は、この謎の発明家の名前と存在を偶然に知り、その失踪の謎を解こうとする。それには映画発明史・技術史を解かねばならず、エジソンを軸とする特許争いも描かねばならなかった。

話は著者を探偵にして、調べ上げた事実を編年的に並べず、調査、推理の試行錯誤の過程をそっくり物語の中に取り込み、過去と実存的に関わる接点を保ちながら、背景説明や過去のさまざまな瞬間へと自在に視点を切り換えて過去をモザイク的に構成していく。

このやり方を訳者は、物語の背景の説明が重複したり寸断され、また物語の通時的理解が妨げられる、という欠点がありながらも、大詰めで抗し難い魅力的な力を発揮すると肯定するが、400頁を超えるボリュームで、内容も決して易しくない作品では、途中で頓挫??!
?る可能性の方が大であろう。

結局、事件当時、エジソンは試作の映画撮影機及び映写機の開発を指揮してはいたものの、その新発明の商業的価値については一度も確信を持ったことがなく、鉄鉱石選別プロジェクトにかかりっきりだったことがわかれば、失踪の謎の大体のゴールは見えてきてしまう。そうなると、特許の先取り争いだけで最後まで読ませるのはつらいものがある。


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