Book Review!


作者:清水 義範


レビュー: 早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書) (新書)

本書は清水ファンは大いに楽しめます。
逆に、清水作品に親しんでいないと、
本書の面白さは半減してしてしまうかなあと・・・。
取っ付きやすそうで、読者を選ぶ怖い本です。(笑)

清水ファンは本書を読むと、
清水さんの創作の背景が分かり、
ちょっと感心します。
(感動まではいかないかな)

若き清水義範は、
現在の清水文学を作り上げる過程で、
本人の葛藤、世間の無理解を乗り越えてきたと、
語っています。
だからこそ「パスティーシュ」に対してのプライド、矜持があるのだなあと。

パスティーシュ」について丁寧に解説してくれています。
それは世界の文学の解説でもあるのですが、
「文学は模倣によって進化してきた」という立場が??!
?っきりしていて、
何とも面白いです。
さてパスティーシュですが、
パロディーの持つ風刺や批評性と異なり、
その本質は言葉のパッチワーク、面白さにあります。
「毒がないとだめなのか?」という問いかけとその回答が、
私は清水先生らしくて気に入りました。

ここまで書き連ねてみて、
世界文学について語っているようで、
すべて清水文学に繋がっているのだと気づます。
本書、肝はパスティーシュの巨匠が語るパスティーシュ論。セルフ評論。
そこに価値があるのでしょう。

そういう点で、
本訴はやっぱり清水ファンにお勧めです。


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