Book Review!


作者:マイケル ムアコック


レビュー: ブラス城年代記〈3〉タネローンを求めて (創元推理文庫) (文庫)

 本書はケルン公ホークムーン最後の冒険譚であると同時に、早川書房/東京創元文庫にまたがって四つのサーガでつづられてきた〈永遠の戦士〉シリーズの最終巻でもあります。魔道皇帝エルリック、英雄エレコーゼ、紅衣の公子コルムら、無限に生きかわり死にかわりして戦いつづけてきた〈永遠の戦士〉たちについに終息のときが訪れます。〈百万世界の合〉に際して四大英雄は一同に会し、おのれを宿痾から解き放つための最後の戦いに臨むのです。 ヒトが絶対的権威=神を寄辺として求めるかぎり〈法〉と〈混沌〉の闘いは止まず、〈宇宙の天秤〉の調停が必要とされ、その僕たる〈永遠の戦士〉もまた闘争に駆り出されるさだめにあります。『ヒトが他者の権威を恃まなくなったそのときこそ、神々と魔法は終焉!!を迎え?!
??のかもしれぬ』、幾度となく繰り返されてきたテーゼについにひとつの結論が下されます。 これまで全編にちりばめられてきた〈黒の剣〉〈ルーンの杖〉〈英雄の介添人〉といったギミックが勢揃いし、結末になだれ込んでいく様は圧巻。本編では語られなかったコルムの最後や〈黒い船〉の船長の素性、そしてエレコーゼの壮絶な散りざまなど、〈永遠の戦士〉シリーズを締めくくるにふさわしいカタストロフィを堪能できることでしょう。


更に詳細を見る