Book Review!


作者:エドモンド・ハミルトン


レビュー: 輝く星々のかなたへ!/月世界の無法者 <キャプテン・フューチャー全集5> (創元SF文庫) (文庫)

ハヤカワSFでは、出版社・翻訳の進捗等の都合から、時系列的な順序で出版されなかったし、通し番号もなかった。当の翻訳家、野田先生が当初からご認識していたとおり本来は時系列に並らべるべきだったわけである。

この点、本シリーズは時系列的にならべており、初めてキャプテン・フューチャーシリーズを読む方はより理解を深めることが可能になる(ちなみに、でたらめな順序で読んでも十分楽しめる)。そして、時系列に読むことによる効果が最も高いのが本書である。

前半の「輝く星々のかなたへ!」では水星人を救うためにキャプテン・フューチャー(とフューチャーメン)は物質生成の場に向かい、収穫を得て帰ってくる。そして、彼らを迎えるのが太陽系による一種の裏切り行為である。そして!
これを綴ったのが後半の「月世界の無法者」である。

さらに、本書の売りは、時系列上の組み合わせだけではない。そもそも太陽系外でのキャプテンフューチャーの活動は少ない。ほとんどが太陽系内で完結しているのである(例外は、時系列的にお遅い「人工進化の秘密」や「危機をよぶ太陽」等に限定されている。)。この点、「輝く星々のかなたへ!」は射手座の方向にある銀河系の中心にある星雲を舞台にしている。

他方、「月世界の無法者」は地球から最も近い月が舞台となっている。こういった地球からの距離を意識した読み方もキャプテンフューチャーの楽しみ方の1つではないか。


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