2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:リチャード マシスンレビュー: ある日どこかで (創元推理文庫) (文庫) ついに読むことが出来ました。この映画を初めて観たのは、もう15年以上も前のことである。しかし、このマシスンの原作は、世界幻想文学大賞の受賞作でありながら、つい最近まで…

Book Review!

作者:レ・ファニュレビュー: 吸血鬼カーミラ 創元推理文庫 506-1 (文庫) 原作を読んだわけではないのですが、翻訳だけでも丁寧な描写が分かります。この本には7編入っていて、中でもやはり圧巻は表題作「吸血鬼カーミラ」。 可憐で美しいカーミラ、それに…

Book Review!

作者:辻 真先レビュー: 仮題・中学殺人事件 (創元推理文庫) (文庫) ソノラマ文庫版を読んだのが中学生のとき。畑農照雄氏のイラストが子供心にちょっと不気味だったが、「自分と同じ中学生が探偵役」という親近感にくわえて謎解きの面白さに夢中になった。…

Book Review!

作者:天藤 真レビュー: 善人たちの夜―天藤真推理小説全集〈10〉 (創元推理文庫) (文庫) 人間って怖い。善人なんていないのかも?現状を打破するには、暴力的な手段が必要ということか?この作家の作品は、重苦しくシリアスな状況に見えて、ほんの少しの希…

Book Review!

作者:マーヴィン・ピークレビュー: タイタス・グローン―ゴーメンガースト三部作 1 (創元推理文庫 (534‐1)) (文庫) いずこにあるとも知れぬ巨大な城に住まう、王とその一族、使用人、関係者たちが織りなす壮大な物語である。全三部作のうち、本書では、永遠…

Book Review!

作者:マーセデス ラッキーレビュー: 宿命の囁き〈上〉―ヴァルデマールの風・第1部 (創元推理文庫) (文庫) 新訳 女王の矢―ヴァルデマールの使者 (C・NOVELSファンタジア)で活躍したタリアにしつけなおされていたあの、セレネイの娘、エルスペスが大活躍しま…

Book Review!

作者:クラーク・アシュトン・スミスレビュー: アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚 (創元推理文庫) (文庫) ゾティークもの、ヒュペルボレオスものの陰に隠れがちなスミスのアヴェロワーニュものを全て収録した短編集。ヒュペルボレオスものは神話風、ゾティークも…

Book Review!

作者:木々 高太郎レビュー: 日本探偵小説全集 (7) 木々高太郎集(創元推理文庫 (400‐7)) (文庫) 現在親しまれている「推理小説」という呼称を初めて使用したといわれている木々高太郎の作品集。医学者らしく、精神分析の手法を小説に取り入れようとしている…

Book Review!

作者:アレクサンドル・デュマレビュー: 王妃の首飾り 上 (創元推理文庫) (文庫) 大ディマ(小ディマは息子の「椿姫」の作者)の傑作の一つです。もちろん最高傑作といえるのはモンテクリスト伯や三銃士でしょうけれども、本書もデュマの物語展開のすばらし…

Book Review!

作者:北村 薫レビュー: 夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (文庫) 円紫師匠と「私」のシリーズの2作目です。このシリーズはどの巻にも表紙に「私」が同じポーズで立っている姿が描かれていて、「私」が少しずつ大人になって行く様子が描かれてい…

Book Review!

作者:ジューン トムスンレビュー: シャーロック・ホームズのドキュメント (創元推理文庫) (文庫) イギリスの女流推理作家による正調贋作ホームズシリーズの第4集。コナン・ドイルの手になる、所謂「聖典」に登場はするが未発表のものが発見された、という…

Book Review!

作者:安萬 純一レビュー: ガラスのターゲット (単行本) 「行方不明探偵」と呼ばれている被砥功児の第2弾。今回の舞台は東京。世田谷のレストランで爆破事件が起きた。榎木探偵事務所に出入りする二十歳の大学生・殿井泰史は、独自に推理を巡らせる。さらに…

Book Review!

作者:マーセデス・ラッキーレビュー: 太陽神の司祭 下 (ヴァルデマールの嵐1) (創元推理文庫) (文庫) 社会が音を立てて変化していくそのときに、どのようにアイデンティティを育てていけばよいのだろうか。ラッキーは繊細なバランス感覚で、主人公カラル…

Book Review!

作者:柄刀 一レビュー: 御手洗潔対シャーロック・ホームズ (ミステリー・! リーグ) (単行本) 柄刀一が描く「御手洗譚」「ホームズ譚」。御手洗ものの短編2編、『ホームズ』ものの短編2編、そして御手洗と『ホームズ』がまみえる中編1編からなる中短編集…

Book Review!

作者:ジョナサン キャロルレビュー: 犬博物館の外で (創元推理文庫) (文庫) ジョナサン・キャロルという人は、魔法使いだと思う。理由は魔法使いに頼らないからだ。つまり、妖精、幽霊、魔法使いといった”実在はしないけど、みんなの心の中に共通して存在…

Book Review!

作者:マーセデス・ラッキーレビュー: 魔法の使徒下 (最後の魔法使者第1部) (創元推理文庫) (文庫) 生涯の絆を無残に失った後、彼自身が自分自身の力で立ち上がる成長の下巻。これだけの大きな剥奪体験をした心を、いかに癒すか。大事な人を自殺で失うとき…

Book Review!

作者:浅暮 三文レビュー: ラストホープ (創元推理文庫) (文庫) こころがぽっかぽっかする犯罪小説です。最初のしかけのところでは読者は,なんだろう,どんな話だろうと,展開が全く見えません。それがするするとほどける快感がある物語です。「犯罪」自体…

Book Review!

作者:H・P・ラヴクラフトレビュー: ラヴクラフト全集 (4) (創元推理文庫 (523‐4)) (文庫) 数あるラヴクラフト作品の中でも、ホラーの枠を超えSFとしても楽しめる最高傑作と個人的に考える「狂気の山脈にて」が収録されているというだけでもう星5つです。 …

Book Review!

作者:種村 直樹レビュー: 長浜鉄道記念館 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (文庫) 1989年に出た単行本の文庫化。 種村氏による推理小説の一冊。本書は朝比奈シリーズの第一作。 長浜の鉄道記念館を舞台に、安藤広重の知られざる浮世絵、犯人消失の謎…

Book Review!

作者:佐々木 丸美レビュー: 風花の里 (単行本) 『孤児シリーズ』の第四作目。いたずらで三人の赤ちゃん(シリーズ前作までの主人公)を盗み見てしまったことで、少女の運命は決まってしまった。自身もまた、莫大な遺産を相続する身でありながら・・・。こ…

Book Review!

作者:アイザック・アシモフレビュー: 宇宙の小石 (創元SF文庫) (文庫) 刊行は1年前ですが銀河帝国興亡史を読んだことがあるのならば間違いなくお勧めできるでしょう。ただし、この作品は少し重厚さにかけます。その代わり銀河系帝国の全滅をかけて戦う一人…

Book Review!

作者:エドガー・ライス バローズレビュー: 火星の秘密兵器―合本版・火星シリーズ〈第3集〉 (創元SF文庫) (文庫) バローズの代表作、火星シリーズの合本版第3集が出た。一般的に、火星シリーズといえば緒3作の評価が高いが、それは火星シリーズを異世界冒…

Book Review!

作者:鮎川 哲也レビュー: 黒い白鳥 (創元推理文庫) (文庫) 『憎悪の化石』と並行して執筆された鮎川哲也黄金期の作品です。私は彼の作品を読むのは3作目ですが、その中で本作が一番面白いと感じました。もちろん中心に位置するのは時刻表を使ったアリバイ…

Book Review!

作者:エドガー・ライス・バローズレビュー: ルータ王国の危機 (創元推理文庫 601-35) (文庫) ゼンダ城の虜が好きな人は、楽しめるかもしれないけれど、くだらない二番煎じだ、と思うことのほうが多いかも。ゼンダ城には悲劇的な要素がありましたが、ルータ…

Book Review!

作者:シャーロット マクラウドレビュー: 復活の人 (創元推理文庫) (文庫) 一度読み出すとやめられなくなる、セーラ・ケリング物の第10弾です。今回はどこか怪しげな懐かしのリディア・ウスペンスカ伯爵夫人の登場で話は始まり、そしていつもの如く、個性…

Book Review!

作者:土屋 隆夫レビュー: 赤の組曲・針の誘い―土屋隆夫推理小説集成〈3〉 (創元推理文庫) (文庫) 本書に収載されている2作品は、いずれもTVドラマ化されたことがある。「針の誘い」は、まだ2時間ドラマ創世記で質の高かった頃の土曜ワイド劇場、「赤の組曲…