2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Book Review!

作者:内田 百けんレビュー: 内田百けん ちくま日本文学全集 (文庫) 『サラサーテの盤』『冥途』『特別阿房列車』ほか、創作品の代表作とされているものはだいたい含んでいて、かついろんな年代の作品が入っているので、内田百を初めて手に取り、一気に全…

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作者:レビュー: 官能小説用語表現辞典 (単行本) 価格は2千円ですが、使いように拠ってはそれ以上の価値があります。たとえば一言に「ぺニス」といっても、それには100以上のユニークな言い回しがあるわけで、この本にはオノマトペまで丁寧に紹介されて…

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作者:安東 次男レビュー: 風狂始末―芭蕉連句新釈 (単行本) 私の思う「風狂始末」の魅力については、すでにちくま学芸文庫本版のレビューにて述べております。この評釈で安東次男がもっとも語りたかったことは、彼が詩に決別をせざるをえなかった、その理由…

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作者:草野 仁レビュー: 名言再発見―ハッとする100の言葉 (単行本) どういう時に、どういう言葉に励まされるか。本書は次のように分類されている。(1)自信が持てなくなったとき(2)おし潰されそうになったとき(3)心に余裕がなくなったとき(4)毎…

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作者:柳 宗悦レビュー: 柳宗悦コレクション2 もの (全3巻) (ちくま学芸文庫) (文庫) ヨーロッパの中世の教会彫刻から、日本各地の様々な工芸品など、ものに関する柳の文章を集めた、コレクションの第2巻目。柳は、独自の観察眼から、何気ない工芸品に…

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作者:カベルナリア吉田レビュー: スロー・トラベル 島めぐりフェリーで行こう! (単行本) カベさんの著書は「沖縄」シリーズから始まり殆ど読ませていただきました。オーソドックスな旅行記ですが、文章力は秀逸で感情移入もスムーズです。何よりも自らの足…

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作者:レビュー: 源氏物語〈第3巻〉玉鬘~藤裏葉 (ちくま文庫) (文庫) 全6巻。当初、1巻が2008年11月、2巻が12月に刊行、以降は隔月刊ということでしたが、3巻が出たのは2009年3月。待ちくたびれました。そろそろ4巻が出る頃だと思い出版社のホームペ…

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作者:高取 正男レビュー: 宗教以前 (ちくま学芸文庫) (文庫) 「民俗(習俗)から見た日本人の宗教意識」について、民俗学、歴史学、宗教学、仏教学、神道学、哲学の知見がバランスよく述べられています。古代宗教だけでなく、民衆の習俗の基底となっている…

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作者:橋爪 大三郎レビュー: 世界がわかる宗教社会学入門 (単行本) 浄土真宗の家に生まれ、プロテスタント系の学校に通い、半年以上イスラム圏を旅した経緯もあり、宗教に少なからず興味を抱いてきたボクとしては、人並み以上に<宗教>というものについて…

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作者:中島 敦レビュー: 中島敦 (ちくま日本文学 12) (文庫) 中島敦集では一番おすすめです。新潮文庫版 などには収録されていない、知られざる傑作の、「幸福」「文字禍」などを含む、中島敦の主要な作品がほとんど収録されています。(「光と風と夢」など…

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作者:迫水 久常レビュー: 機関銃下の首相官邸 二・二六事件から終戦まで (ちくま学芸文庫) (文庫) 2・26事件とポツダム宣言受諾という2つの出来事周辺に絞った著者の回想。日本が第2次世界大戦に突入する契機と終戦直前の様子が分かりやすく伝わって…

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作者:平山 雄一レビュー: 江戸川乱歩小説キーワード辞典 (単行本) 乱歩の好きな人は買い! である。それにしても、よくもまあこれだけのものを出してくれたという、乱歩ファンには待望の書。乱歩の小説に登場するありとあらゆる物、人、事柄について詳しく…

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作者:正岡 子規レビュー: 正岡子規 (明治の文学) (単行本) 『坂の上の雲』の映像化(NHK)によって急に身近になったように思える子規。今まで発行された文学全集には一人で一巻にまとめられたことはなかったように思えるが、この叢書によって主要な著作が…

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作者:川端 康成レビュー: 川端康成集 片腕―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫) (文庫) 帝国大学在学時の処女作からその44年後の「片腕」まで、心霊学に傾倒した影響を感じさせる短編の数々。個々の作品は、年を経るうちにオカルト文学から幻想文学に洗練されて…

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作者:つげ 義春レビュー: つげ義春コレクション 鬼面石/一刀両断 (ちくま文庫) (文庫) つげ義春コレクション全9巻のうち、最終巻。剣豪、忍者などの時代ものをまとめて収録した傑作集。著者本人が選んだ長めの作品が5作品入っている。作家の司馬遼太郎さ…

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作者:高木 敏雄レビュー: 日本伝説集 (ちくま学芸文庫) (文庫) この本は大正初年、東京朝日新聞の求めに応じ、全国から寄せられた民話、伝承を柳田国男とともに雑誌「郷土研究」を刊行した高木敏雄博士が分類編集、まとめたものである。大正二年に発行され…

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作者:斎藤 美奈子レビュー: 趣味は読書。 (単行本) 「私は本好きだ。」を自認する人たちが意外に読まないのがベストセラーもの。馬鹿にしているといってもいい。本屋に行く回数が多いものだから、売れてる姿をよく目にするにも拘わらず、心の中で「けっ、…

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作者:尾崎 翠レビュー: 尾崎翠 (ちくま日本文学全集) (文庫) 好きな作家を問われたらとっさに思い浮かぶ作家のひとりになった著作集。中でも、本書に収録されている「花束」の中で語られる“追憶の溜息”は読んだ当時の私をとても元気付けた。あの頃は良かっ…

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作者:安野 光雅レビュー: 片想い百人一首 (ちくま文庫) (文庫) 百人一首の全首について、新たな上の句を本歌の下の句に添えた作品をものし、それぞれにエッセイや、ときには挿し絵が添えられている。各首に対する濃度差は当然あるが、本歌取りも佳首がそろ…

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作者:山田 風太郎レビュー: 風々院風々風々居士―山田風太郎に聞く (ちくま文庫) (文庫) 森まゆみ氏の気の利いたインタビューが秀逸。スイカを出して塩も出す気の利いた風太郎先生のやさしさがじんとくる。そして何よりもあの複雑なパズルのような明治もの…

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作者:森口 繁一レビュー: 応用数学夜話 (ちくま学芸文庫) (文庫) 最適化,線形計画法,確率統計など比較的身近な話題から説き起こして数理的手法を用いて解説するスタイルです.いろいろなトピックスを数理で料理する腕は,なかなかの物と思います.また,雪…

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作者:ジョー ニッケルレビュー: オカルト探偵ニッケル氏の不思議事件簿 (単行本) 日本語で読める本の中で、人体発火現象に関する最も詳細な報告になると思います。もちろん他のケースについての調査も、詳細です。かなり評価の高い「新・トンデモ超常現象5…

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作者:都築 響一レビュー: 賃貸宇宙UNIVERSE for RENT〈上〉 (ちくま文庫) (文庫) Tokyo Styleで現代の暮らしを鋭く切り取った都築響一が、さらにパワーアップしたバージョンを世に出した。まあ、よくこれだけいろんな暮らしがあるもんだと(ゲップが出そう…

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作者:稲垣 足穂レビュー: 稲垣足穂 (ちくま日本文学全集) (文庫) わたしが稲垣足穂を初めて知り、そして好きになった本です。彼の代表作で要素も強い「一千一秒物語」が収録されているので、稲垣足穂の作品を何か読んでみたいと思っている方にお薦めします…

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作者:猪野 健治レビュー: 侠客の条件―吉田磯吉伝 (ちくま文庫) (文庫) 本書でおもしいのは、巻末に火野葦平の『花と龍』では敵対関係にあった吉田磯吉と玉井金五郎の子息が対談していること。 その磯吉の子息である吉田敬太郎は戦中、東條政権に反発し、皇…

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作者:アントワーヌ・ド サン=テグジュペリレビュー: 星の王子さま (新潮文庫) (文庫) 30年以上前の中学3年生の時、はじめてこの本を手にした。当時はハードカバーの本でケースまで付いていた。ある日、音楽室の机の中に本を忘れた。次の日に職員室に取…

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作者:斎藤 環レビュー: 戦闘美少女の精神分析 (単行本) 数ある『おたく評論』の一つとして読むのにはいい。中でも、第四章の『ヘンリー・ダーガーの奇妙な王国』は必読個所。おたくの起源がこんな所にもあることを知ることが出来る。読んでいてかなり憂鬱…

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作者:高橋 巌レビュー: ルドルフ・シュタイナー教育講座〈1〉/教育の基礎としての一般人間学 (単行本) この本は、人間というものをまったく新しい観点から描写しようとしている点で、「一般」というよりむしろ「特殊」と言った方がよい「人間学」を展開し…

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作者:山室 静レビュー: 世界の神話 8 ムーミンを日本に伝えた人で有名な山室静氏の北欧神話の本です。北欧の荒ぶる神々をわかりやすい文体でまとめた北欧神話初心者にはおすすめの一品です。この本のお陰で私は一気に北欧マニアになってしまいました。 更…

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作者:J・G・バラードレビュー: 殺す (創元SF文庫) (文庫) 結晶世界やハイ・ライズ、そして何と言ってもヴァーミリオン・サンズなどの超絶名作を残しているバラードにしては軽い作品。ミステリー読者なら、読み出してすぐに事件の真相はわかり、動機も…