Book Review!


作者:中島 敦

レビュー: 中島敦 (ちくま日本文学 12) (文庫)

中島敦集では一番おすすめです。

新潮文庫版 などには収録されていない、知られざる傑作の、「幸福」「文字禍」などを含む、中島敦の主要な作品がほとんど収録されています。
(「光と風と夢」などは分量から未収)
岩波文庫版も比較的収録が多いですが、差別語問題からか、「幸福」が収録されていません。

ちくま日本文学全集」の再発本で、活字も読みやすく、注も巻末ではなく本文の横に、他版より多く書かれていて、読みやすいです。
難解なので有名な「山月記」の冒頭などは、半ページほど注に割いています。
中島敦が注なしだと、な??!
?なか読むのは厳しい)
装丁はちくま日本文学全集版 の方が、準ハードカバーのような感じで、ずっとよいので、古書で手に入らないか、探してみてもよいかもしれません。

ただ「弟子」は、少なくとも孔子の弟子に関しては「ていし」と読むのが正しいので、「でし」のルビは誤りです。
この本は青空文庫の底本になっており、ネット上で誤った読みが流布する原因になってしまっているのは残念です。
この点で-1としました。


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