Book Review!


作者:斎藤 環

レビュー: 戦闘美少女の精神分析 (単行本)

数ある『おたく評論』の一つとして読むのにはいい。中でも、第四章の『ヘンリー・ダーガーの奇妙な王国』は必読個所。
おたくの起源がこんな所にもあることを知ることが出来る。
読んでいてかなり憂鬱な気分になったけれど…。普段の生活でおたくと縁のない人間にとっては、第二章の『「おたく」からの手紙』もなかなか興味深い内容。賛同できるかどうかは別として、おたくの考え方やものの見方を垣間見ることができる。また海外のアニメファンのスタンスを紹介している第三章『海外戦闘美少女事情』も、日本と海外のおたくの違いが明確に書かれていて一読の価値あり。第五章の『戦闘美少女の系譜』は日本のアニメ史の流れを大まかにつかむには最適。でも資料として数は多いが内容的には随分大雑把。
著者の好みで書かれていたり、内容紹介に疑問が残ったりする部分がなきにしもあらず。精神分析に関する専門用語が多く出てくるので、慣れるまで結構大変。最終章で著者は「おたく擁護」の立場に立っているけれど、読者に「おたく擁護」を強要しない節度は素晴らしい。
個人的には読み終えた後、なるほど、そういう見方もあるのか…
と思ったが、そこどまり。なかなか興味深く読める一冊でした。


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