Book Review!


作者:中山 元


レビュー: 思考の用語辞典―生きた哲学のために (ちくま学芸文庫) (文庫)

読む哲学・思想事典、キーワード集など、類書がたくさんある中で、読みやすさは随一。
文庫化されて、さらに手軽になった。
同じ「ちくま学芸文庫」から出たクワインの『哲学事典』が言語哲学や語学に偏っているのに比べて、
灰汁もないし、網羅的なので使い勝手もいい方だと思う。
反面ちょっと平板な感じは否めない。ハンナ・アレントとメルロ・ポンティの登場回数が多い。
特にメルロ・ポンティに言及して項目を終えるパターンが多い。
その次に重要視されているのはレヴィナスあたりか。
あいうえお順で、最後は「ろ」の「論理」で終わっている。
「わ」の項目はない。最後の項目を「笑い」で〆てくれたら良かったのに、と少し残念。
(「論理」の後に「笑い」で終わるのも趣??!
?深いと思うのだが)
この本全体に哲学的な狂気が足りないことを象徴しているかのようだ。
(「狂気」の項目はあるんですけどね…)
常識人の哲学。それもまたよし。


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