Book Review!


作者:吉本 隆明


レビュー: 音楽機械論 (ちくま学芸文庫) (文庫)

1986年出版のすごい本の文庫化。YMOから戦場のメリークリスマスを経てノリにのってた若き坂本龍一が、当時すでに
還暦を迎えていた思想界のスーパースター吉本隆明と、なんと音楽の話をしているのだ!まだコンピューターが珍しかった
時代に、最新の機材を駆使して時代の先端で作曲していた坂本と、美空ひばり中島みゆきを持ち出す吉本の議論は最初
なかなか噛み合わない。
しかし坂本は対話し続け、実際に機材を用いてともに作曲を試み、吉本はそれをフル回転で吸収していき、議論は一歩一歩
表現者同士のものとなっていく…このスリリングな過程をかなり細かく再現しています。
文庫化にあたって追加された坂本へのインタビューで、彼がこの対談をなかなか楽しんだ様子が伺えるのも??!
?笑ましい。
単行本にあった二人の共同作の音源は当然ながらついていませんが、興味のある向きにはある程度内容が推測できる制作
時のディスプレイ画面とメロディの譜面が掲載されています。
惜しいのはそれが大変見づらいことと、掲載写真の印刷が非常に粗いこと。
もしや元の写真のデータ(当時はネガ?)が失われてしまったのでは?というくらい、なんだかわかりづらいものが多いです。
しかし、もうこの組み合わせと、吉本先生の作曲だけで、十分!?


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