Book Review!


作者:ニール F カミンズ


レビュー: もしも月が2つあったなら ありえたかもしれない地球への10の旅 Part2 (単行本)

 表題を含めた10種類の仮説に基づいてシミュレーションを行い、可能性としての別世界を描いて解説してくれる。地球(惑星)と月(衛星)の関係だけでなく、太陽や惑星の関係、惑星や衛星の生成、惑星で育まれる生命、さらに太陽系、銀河系そして宇宙全体の始まりと成長について、と話は広がる。説明は平易でわかりやすく、SF的な魅力そのものといった内容で非常に楽しい。
 個人的に一番惹かれたのは「天の川銀河の中心核の超大質量ブラックホールのまわりを公転する恒星の軌道」図の解説部分だ。観測事実を含めて、このような状態遷移図が描けるとは知らなかった。興味深かったし、それが基本的な物理法則に支配されていることに、感激すらしてしまう。
 あえて注文するならば、本文中にはもう少し!
図版が、巻末には補足の数式があっても良かったと思う。仮想世界の成り立ちや、太陽や衛星を中心にした一日の様子など時系列で説明をする部分については、図版があった方がわかりやすいし説明も楽だと思える。またケプラーの法則やロシュの限界など頻発する公式については、巻末に理論や数式などが紹介されても良かったと思う。


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