Book Review!


作者:出久根 達郎


レビュー: 花ゆらゆら (ちくま文庫) (文庫)

 高知の牧野植物園を訪れては、牧野富太郎博士が詠んだ歌「草を褥に木の根を枕花を恋して九十年」を思い浮かべる。つくしんぼは「筆の花」と言われると知らされ、これは花だろうかと疑問をもち子規の句「土筆似て飯くふ夜の台所」がある。鉄線の花は不粋な名だとしているが「鉄線を咲かせてあるじ書にこもる」の虚子の句が大好きだと言っている。
 老女と見た明月院沙羅双樹。倒壊した家から抱え出した赤いプリムラ一鉢。本書で注目される花として「銀河鉄道の花」がある。ツリガネソウが別名、カンパニュラ。宮沢賢治の童話に登場するカンパネルラに似ていることに言及している。
 思い出の庭園に咲くさまざまの草花や木の花。著者の心の庭に咲く花を語る50話。カラーイラストが多く、安らぎを感じ!
させる本作りになっている。


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