Book Review!


作者:デイヴィッド テイラー


レビュー: 野生の国の獣医 (ちくま文庫) (文庫)

依頼があれば世界のどこにでも飛んで行く、フリーランスの動物園獣医デイヴィッド・テイラー先生の活躍を描いたノンフィクション。守備範囲はゾウにサイ、トラにライオン、ゴリラにパンダにヒヒ、イルカにシャチにサメ…などなど非常に多岐に渡っている。

同じ獣医ものという事で、どうしてもヘリオット先生と比べてしまい、文章力が落ちると感じてしまう。テイラー先生の科学者らしい、冷静で淡々とした筆致はとても良いのだが、話題をコロコロ変える癖が目立ち、話の流れがつかみにくくなっているのが惜しい。また、テイラー先生ご本人を含めて、人物はあまり描けていない感がある。

それでも”事実は小説より奇なり”の、ユニークでスケールの大きな内容は、文句なしに楽しめる。特に気に入??!
?たエピソードは、エジプトで劣悪な環境に置かれていたイルカを、強奪すれすれのやり方で救出する話、パンダの奇病に悪戦苦闘する話、トラックで運んでいたサメが、道路に振り落とされてしまった話、TVに出演したライオンがスタジオの真ん中で”落とし物”をしてしまい、誰が片付けるかで大もめになる話である。


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