Book Review!


作者:中山 元


レビュー: <ぼく>と世界をつなぐ哲学 (新書)

井の哲学者・翻訳家として活躍する、中山元さんの「僕」と「世界」をめぐる思想の小旅行。

哲学史上の重要文献の翻訳をアカデミズムから自由なところで世に問うている翻訳家の中山さんだけ
あって、この本も難解な思想を難解なまま語るのではなく、平明に・しなやかに・たおやかにつむがれている。

単なる知識としての思想解説の書ではなく、何気ない「僕」と「世界」に関するの疑問から出発してさまざまな哲学史上の
問題点を辿る好著。

ただ、専門的な見地から見逃せなかったのは、「西田の種の論理を受け継ぎながら「種の弁証法」を展開した田辺元」(p.209)と
あるが、田辺は西田から種の論理を受け継いだのではなく、むしろ正反対に田辺の「種の論理」の影響で西田にも種!
の概念が
導入されていった、という事実の誤認があったので、☆を一つ下げておきます。


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