Book Review!


作者:中島 敦

レビュー: 中島敦 (ちくま日本文学全集) (文庫)

珠玉の短篇が詰まった、素晴らしい作品集。寡作だった中島敦の作品の多くが収録されています。中国を舞台にした有名な「山月記」や「李陵」、南洋諸島での経験を題材にした作品、その他「かめれおん日記」や、「悟浄出世」などが収められています。自分を厳しく見つめ、いかに生きるべきかを徹底して考え抜いている中島敦の作品は、さまざまな価値観が渦巻く現代において、自分の拠って立つべき場所はどこなのかを常に自問自答する大切さを教えてくれます。「山月記」の虎、「李陵」の司馬遷、「悟浄出世」の悟浄など、魅力ある登場人物が己の生き様を見つめる姿は、心を打ちます。池澤夏樹氏が解説を書いていて、最後に素敵なおまけが付いている感じです。日本文学好きにはお勧めの一冊です。


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