Book Review!


作者:竹田 いさみ


レビュー: 世界史をつくった海賊 (ちくま新書) (新書)

 エリザベス朝時代、まだ世界の二流国であったイギリス(イングランド)がのし上がっていく、
まさに英国版「坂の上の雲」といった話。ただしイギリスの場合、女王自ら海賊を奨励し、
ドレークをはじめとする海賊にスペインやポルトガル船を襲撃させ、最新の船と富を得ることで
国力を蓄えていったという。
もちろん襲撃されるスペイン側は怒り心頭となるわけだが、イギリスは巧みな外交術によって交わし続ける。
イギリスが狡猾なのはいずれスペインとの戦争が不可避であるという想定に立ち、それまでにヨーロッパ大陸
情報網を築き上げていたことにある。外交によって時間を稼ぎ、その間に情報を集めて自分の有利な状況で強敵
を迎え撃つ、というのは近代以降も散見されるイギリス?!
??必勝パターンなのであろう。
恐らくこのパターンが出来上がったのがこの時代ではなかったか。海賊やスパイス交易にまつわるエピソードも
読みごたえ十分であるが、同時に筆者はイギリスの世界戦略における外交やインテリジェンスの役割もよく論じている。


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