Book Review!


作者:伊藤 正敏


レビュー: 寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書) (新書)

 日本の中世史を解説しているが、西暦で年代が統一されているおもしろさを感じる。
 著者個人の主観なのか、年月の流れを数値的に把握するための意図的なものかは判断できないが。
 さらに、こういう類にありがちなコチコチではなく、キャラクターか、故意かは不明だが、口語調で意見が述べられている。
 不思議に、教科書には出てこない事実が書き並べてあるが、これで新書というおもしろさ。

 不可侵の宗教世界だけに、寺社勢力に踏み込んだ意見は呈しがたいが、本書はあらゆる方向から歴史をみることを提唱している。
 寺社という隠れ蓑を纏って、経済活動をする都市。そこに集う「無縁」と呼ばれる人々。まるで、現代の日本の都市生活を覗いているかのようだった。
 簡明に??!
?者は解説しているが、日本の歴史に興味のない方には興味は湧かないかもしれない。

 なお、51ページに「博多どんたく」が博多祇園会の別称と記してあるが、これは「博多祇園山笠」の間違いなのでは。


更に詳細を見る