Book Review!


作者:高田 明典


レビュー: 世界をよくする現代思想入門 (ちくま新書) (新書)

同著者の『知った気でいるあなたのための構造主義方法論入門』
が大変秀逸な作品だったので、続けてこの本を購入してみたのだが、
これは期待はずれだった。
構造主義は問題解決のためのモデルを提示するという手法をとるから、
そもそもの問題意識を共有しない人々に対しては説得力をもたない、
という指摘までは納得できる。
だが、構造主義の欠陥をどう越えればいいかというところで、
著者は、ポスト・モダン的な相対主義に行き着く。
「世界をよくしたい」と考えているときの「私=主体」というのが、
そもそもはっきりしないし怪しい、そこを問題にしたほうがいいよ、
というわけだが、その答えは一向に与えられない。
これでは、「世界をよくする」というタイトルに??!
?かれて
本書を手にした読者は決して満足しないし、「現代思想というのは
小難しい理屈ばかりを並べて一向に問題解決への有効性を
もたない」と思われてしまっても仕方がない。

また、内容的にも詰め込みすぎで、特に後半はわかりづらい。
フーコーデリダ、ローティ、ハーバーマス、ゴフマン、アガンベン
ブルデュー、社会構成主義からレギュラシオン学派まで。
これじゃあ、初学者は頭が混乱して迷子になってしまう。

それでも星二つにしたのは、ブックガイドは親切だから。


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