Book Review!


作者:守安 功


レビュー: アイルランド 人・酒・音 (単行本)

この本は、私がアイリッシュ音楽に魅了されて間もない時に出会い、ひどく衝撃を受けた本である。
著者が語る音楽観は、確かにとても偏ったものである。しかし、それは著者のアイルランド音楽への狂おしいほどの愛情と敬意からくるものに他ならないと私は思う。著者のアイリッシュ音楽の演奏を生で聴いた私にはそう思わずにはいられない。
今、日本で広まっているのはチーフタンズコンセルティーナ、ドロレス・ケーンなどの間違った発音。古くから伝わる伝統的スタイルへの偏見。このような間違った情報が幅広く広まってしまった今、著者は心を痛めると同時に、自分の愛する、自分の知るアイルランドを私たち読者に語りかけているのだと感じた。
著者は、チーフテンズと深い交流があり、彼らの活躍??!
?大いに称えている。これは、本書でも書かれていることでわかる。
止められない時代の流れの中で、確実に失われていくアイルランドの伝統音楽。アイルランド音楽に魅了され、古き時代から受け継がれるアイルランド音楽を愛する人なら何かを感じずにはいられない本だと私は思う。『これが本当のアイルランド音楽だ』と言うつもりは私にも全くない。しかし、今は廃れつつある古きアイルランド音楽を愛する人には、是非、薦めたい一冊である。


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