Book Review!


作者:カーター・ディクスン


レビュー: 孔雀の羽根 (創元推理文庫 119-4) (文庫)

警察が厳重に監視している空家の一室――いわゆる“視線の密室”だが、窓は
開いていた――に一人で居た男が、髪が焦げるほどの至近距離から撃たれた。

現場には孔雀模様のテーブル掛けと十客のティーカップ、そして
凶器の拳銃が残されていたのだが、犯人の姿は影も形もなかった……。

前述の事件の二年前にも、現場に十客のティーカップが残された射殺事件(未解決)
――しかも過去と現在、どちらの事件の際も、警察に予告状が届けられていた――
が起きているのですが、過去の事件における関係者それぞれの目論みが思わぬ化学
反応を起し、不可解性が強調されることで、現在の事件の煙幕となっているのが秀逸。

一方、メインとなる密室トリックは、力業的な構成過程??!
?りも、「何故被害者は、
大きすぎる帽子を被っていたのか?」というホワイダニットに集約される下準備
の部分に、カーの着想の冴えが窺えます。


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