Book Review!


作者:フェリぺ・アルファウ


レビュー: ロコス亭 (奇人たちの情景) (創元ライブラリ) (文庫)

帯に「ナボコフカルヴィーノボルヘス......、すべての原型がここにある」とあり、メアリ・マッカーシーというクレジットが入っている--これは当然、買い!と判断してもおかしくないはずです。

実際に読んでみると、メタフィクションではあるけれど、そんなに新規でも奇妙でもないような...たぶん1920年代って、モダニズム最盛期だし、こういう作品が書かれても珍しくなかったんじゃないかと推測できます。

それでも、面白いことは面白いです。
自国とその国民への揶揄と愛着など、むしろチャペックあたりを思わます。スペインという国柄、エキセントリックな人物が描かれておかしくない風土 なので、他国人にはよけい魅力的に映る分得をしているかもしれません。文学史に足跡を残すようなもの?!
??はないけれど、90年後に読んでも楽しめる作品ではありました。

なのに偉大な作家たちの原型だなんて言うから、こちらの期待がいやがうえに大きくなってしまう。しかも巻末のメアリ・マッカーシーに よる跋を読むと「原型」だなんて言っていないし...(実際にはこれら作家と自分好みのスタイルだという類似性があるという意味の内容です。)
下手な持ち上げ方をすると、贔屓の引き倒しとか、ほめ殺しになるということを、出版社と翻訳者は気がついてくださいね。


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