Book Review!


作者:マイケル・シルバースタイン

レビュー: ウーマン・エコノミー―世界の消費は女性が支配する (単行本)

この本の主題は女性向けのマーケティング。確かに消費の世界で女性の存在感は高く、それは例えば百貨店のフロア構成を見てもショッピングモールの顧客構成を見ても明らか。でも消費財企業の経営とマーケティングやってるのは男性だよね、という至極当然の問いかけに始まり、女性に支持される企業とは具体的に何かを挙げていく。それらはユニクロ、バナリパ、DHC(これは書かれてないけど)なんていう面々を考えるとわかりやすい。一方で女性に支持されない産業として金融と医療が挙げられているが、これは国民皆保険制度のない米国での保険産業に対するストレスを反映しているようだ。

巻末の方では世界の女性へのインタビューがあって、そこでは焦点がダイバーシティとガラスの天井に移っている。??!
?なる最後の経済的フロンティアが女性の社会進出であることは論を待たない。ただ女性の社会進出応援がこの本の隠れた主張になっていて、それ故に(決して日本だけの特色ではない)専業主婦を素通りする結果になっている。それで女性を類型化したことになるのか、という疑問は残る。

女性は仕事にも家庭にも精を出し、愛情も豊か。歴史的に見ても、平和な時代が続けば女性のプレゼンスが増す。女性が世界の消費を動かす、というのは目新しい話ではなくて、既に先進国では実現しているテーマだと思うのだけど、どうだろう。


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