Book Review!


作者:安房 直子

レビュー: 白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫) (単行本)

 いちめんの雪景色、いちめんの菜の花ばたけ、露草(つゆくさ)の青い花の群れなど、水彩画の絵を思わせる話の中の風景。目にしみるやわらかな色合いが素敵ですねぇ。
 本書は、1973年(昭和48年)に筑摩書房から刊行された『童話集 白いおうむの森』を文庫化したもの。「雪窓」「白いおうむの森」「鶴の家」「野ばらの帽子」「てまり」「ながい灰色のスカート」「野の音」の七つの短篇が収められています。
 きれいな青いお皿の絵がだんだんに変わっていく、哀しくて美しい綺譚「鶴の家」。さびしがりやのお姫さまと、おせんという名の少女の心のふれあいを描いた「てまり」。このふたつの話が、格別、気に入りました。
 できれば、同じ偕成社文庫の安房直子の童話集『風と木の歌』と併せてどう??!
?。『風と木の歌』のほうには、「きつねの窓」「さんしょっ子」「空色のゆりいす」「もぐらのほったふかい井戸」「鳥」「あまつぶさんとやさしい女の子」「夕日の国」「だれも知らない時間」の八つの短篇が収録されています。
 そして、この作家の作品をもっと読みたくなったら、全部で7巻ある【安房直子コレクション】(偕成社)の扉を開いて、本の中に飛び込んでみてください。きっと、素敵なファンタジーのお花畑に遊ぶことができますよ。


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