Book Review!


作者:谷本 誠剛


レビュー: 児童文学とは何か―物語の成立と展開 (ハードカバー)

 子どもが何故児童文学を必要とするのか。その深奥に迫った意欲作。
 著者は英米児童文学の専門家であり、特に、児童文学の原理に関心を抱いていることで知られる。本書は中でも理論的色彩が濃く、谷本氏の主張を総合的に見ることが出来る。 谷本氏によれば、子どもは外界を物語としてとらえる。物語化されて初めて、世界は認識される。また、子どもの自我は物語の形を取ることで存立・満足させられる。と書くと難解に思えるが、こうしたことを具体的に作品を取り上げながら、わかりやすく説明したものが本書である。子どもの本質を突いており、また、児童文学を改めて見直すきっかけにもなった。 書き手の側に注目し、児童文学がどこから生まれてくるかという問題に踏み込んだ部分も面白い。


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