Book Review!


作者:宮本 輝


レビュー: 川三部作 泥の河・螢川・道頓堀川 (ちくま文庫) (文庫)

宮本輝の川三部作が一冊で読める。

幻想的で物悲しく、どこか遠景の水彩画のように淡い「蛍川」。

少年の友情と人生の悲哀を軽いユーモアを交え、ノスタルジックに描いた「泥の川」。

若さと情熱、そして恋愛を美しく描いた「道頓堀川」。

川三部作に共通しているのは、貧しさの中でも揺るがない高貴な人間性である。この三作では人間の正直さや純粋さを真正面から描いた。80年代の初めに、観念的でもシニカルでもなく、純文学的なテーマをエンターテイメントとして成立させた希有な作家だった。同時期にデビューした村上春樹、龍との比較で言えば、その主題の確かさが宮本輝の魅力だと思う。

青が散る」で宮本輝は最初のピークを迎えるが、その前段にこの川三部作が??!
?る。

大エンターテイメント作家となる前の宮本輝の初々しさをぜひ味わってほしい。

宮本作品の原点があるはずだ。


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