Book Review!


作者:山田 洋次


レビュー: 男はつらいよ (2) (ちくま文庫) (文庫)

リリー 「うん、兄さんなんかそんなことないかな・・・夜汽車にのってさ、外見てるだろう、そうすると何もないまっ暗な畑の中なんかに時々ポツンと明かりがついていて、ああこんなところにも人が住んでるんだなアって、そう思うと何となく悲しくなって涙が出ちゃいそうになる時って、ないかい」

寅 「こんな小っちゃな灯が遠くの方へスーッと遠ざかって行ってな、あの灯の下は茶の間かな、もう遅いから子供達は寝ちまって、父ちゃんと母ちゃんが二人してしけたセンベイでも食いながら紡績工場に働きに行った娘のことを話してるんだ、心配して。暗い外見てそんなことを考えていると、汽車がボーッと聞こえてよ、何だかフッと涙が出ちまうなんてことは・・・あるな・・・」

 北海道のある波止??!
?での寅さんとリリーの出会いの場面です。本書には「男はつらいよ」シリーズのうち、「寅次郎忘れな草」、「寅次郎相合い傘」、「寅次郎ハイビスカスの花」、「寅次郎 紅の花」が収録されています。これらの作品には、浅丘ルリ子の演じるリリーが全編に登場しています。優しい人たち、人生の哀しみ、故郷を感じるそれぞれの土地、映画を見終わるといつも心が洗われる気がしました。そして満員電車に揺られながらこの文庫を読んで、またそれを堪能しています。


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