Book Review!


作者:山田 かまち


レビュー: 山田かまちのノート〈上〉 (ちくま文庫) (文庫)

最初20歳ぐらいのときに読んだときはいまひとつピンとこなかった。かまちの言葉が表現しようとする感情の幾つか(例えば愛や憎しみの本質)を当時の自分がまだ理解できておらず、ついていけなかったためだと思う。しかし今、30歳になって読み返してみて思うことがある。人間の感情というのはきわめて複雑で移ろいやすく、その本質を理解したとしても、言葉で言い表すことがとても困難だと思う。たとえば愛情、憎しみ、怒りといった我々が普通に持っているありふれた感情であっても、折に触れて言葉でその本質を捉えることの困難さを感じる。言葉にした瞬間、大切な感情の大部分が逃げていってしまうようにも感じる。でも山田かまちは感情の本質を理解し、しかもそれを言葉で的確に捉えることが簡単に、しかも自?!
??にできてしまう(彼自身はそれでももどかしさを感じていたようだが)。だから天才なのだと思う。


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