Book Review!


作者:山内 昶


レビュー: ジッドの秘められた愛と性 (ちくま新書) (新書)

たいそう興味深い本です。ひとりフランス文学に関心のある方々のみならず、同性愛、セクソロジージェンダー研究、女性学、男性学、等々およそ人間に関する万事に興味のある人々全員にお奨めできます。ただ一つ敢えて難点を挙げるならば、キリスト教中世について筆者が大半をジョン・ボズウェルの研究に依拠して居るといふことでせう。彼の著作は優れたものなれど、本人も揚言しているやうにボズウェル自ら「敬虔な」ローマ・カトリック信者で、あの本はあくまでも「キリスト教は元来、同性愛に敵対的ではなかった」ことを主張する護教論として記されたものなのです故、そのあたりを今少し心して読んで欲しかったものをと存知ます。


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