Book Review!


作者:内田 百けん


レビュー: まあだかい内田百けん集成〈10〉 ちくま文庫 (文庫)

 黒澤明監督の遺作となった「まあだだよ」の元になるのがこの本です。
 かつての教え子達に還暦を祝ってもらってもまだまだ死にそうにない百先生、未だか未だかで「まあだかい(摩阿陀会)」。見方によってはものすごく失礼なネーミングですが、この遠慮のなさに百先生と教え子達との間の気の置けない関係が伺えてなんとも微笑ましいです。 この本では、十数年に渡って毎年行われたその「まあだかい」での出来事が中心に描かれています。 還暦をすぎても乾杯でビールの大ジョッキを一息に飲み干す百先生、年をとって足が悪くなり、「まあだかい」に行きたくても行けなくなって寂しがる百先生。内田百自身の手で軽妙に綴られるそんな一コマ一コマに、古き良き時代の師弟関係が生き生きとうかびあがり!
ます。 内田百という人は非常に多面的な人物ですが、そのなかでも教師としての百を見てみたいという方にはぜひお勧めの一冊です!
 最後に、普段我々が何気なく使っている「嫌だから嫌だ」というフレーズの由来がじつは内田百だったということがこの本の解説を読むとわかります。


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