Book Review!


作者:福澤 諭吉


レビュー: 学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書) (新書)

 福沢諭吉の名著を斎藤孝が現代語訳し、現代の文脈の中で蘇らせた一冊。
 人間の平等をうたいあげ、区別するのは学問だけだとする。それは主に実学のことであり、人々はそれぞれの責務をまっとうし、個人の自立を目指す。自由と分限とを守り、国家と協力して正義や秩序のために法を守る。
 そのことが国家の平等や自立につながる。洋学者に期待するところは大きいが、西洋礼賛でも困る。あくまで是々非々主義でいかねばならない。物事の理非を判断する力を持ち、向上心をもって競争に励む。男女は同権であり、観察や推理にもとづく科学的精神を持ち、品性を磨き、経済的感覚を持たねばならない・・・。
 ざっとポイントを並べただけでもこれだけである。当時の情勢にあって日本が必要な近代の精??!
?を説いたものである。個人主義国民主義、立法主義、法治主義、合理主義・・・近代を近代たらしめるキーワードに満ちている。「古臭い」というイメージがあるかもしれないが、むしろ極めて進歩的というべきであろう。
 斎藤氏の解釈もおみごと。「個」「公」「国」が矛盾なく良い方向に動く「福沢スタイル」を論じている。疲れ切った日本であるが、今一度読み直す価値があるのは確かである。


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