Book Review!


作者:佐々木 信夫


レビュー: 道州制 (ちくま新書) (新書)

今、この国は未曾有の負債を抱え、国家予算もその半分以上が国債によって賄う異常事態になっている。
国民の間では、消費税を含めた大幅な増税もやむなしという雰囲気が一般的になりつつある。
本書ではこれを、行政機構のスリム化によって支出を削減しようという提言をしている。
道州制に関する多様な議論について、よく整理され、著者のイメージする道州制も提示されており、具体的な姿が見えてくる。
財政力ごとの地域の負担方法も、域内生産力に応じた国費分担金システムなどよく練られている。

特に、最終章で披露されるフランスやスウェーデンデンマーク、イギリスなどのここ最近の世界の自治制度の変革には衝撃を受けた。
これらの世界の動きに対して、この国のなんと緩慢な??!
?とかと愕然とする。
立ち止まってしまったように見えるこの国の道州制論議へ、大きな一石を投じてくれる本である。

すでに東北3県では、合併に向けた広域連携の動きが見られるという。
また、首都圏での排ガス規制に向けた共同歩調もこの動きの一環であるともいう。

あえて批判的にいえば、公務員の大幅削減による余剰人員は、いったいどうするのであろうか。
本当に道州制だけで、この膨大な負債を精算できるのか。
著者の主張は理想論すぎるような気もするが、描く方向性は間違ってはいない。


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