Book Review!


作者:ロバート・L. ハイルブローナー


レビュー: 入門経済思想史 世俗の思想家たち (ちくま学芸文庫) (文庫)

 17世紀頃から顕著になる市場の興亡に対してアダムスミスに始まる大経済学者達がどのように洞察していたかを、時代背景と彼等が育った環境を解説することで興味深く教えてくれます。よって経済史と大経済学者の伝記であると言えます。しかし、本書は単なる伝記ではありません。それは読者に対して次の事を示唆しているからです。1)彼等は経済を政治的なものとしてとらえ経済社会の未来に関心を持ち資本主義の終着点を予測したこと、2)貧困や階層、不況など彼等にとって問題であったものが現代でも解決されない問題として存在していること、3)現代経済は彼等が予測した資本主義とは異なる変化をしたこと、4)グローバル経済や情報通信革命など大経済学者が生きた時代には存在しなかった事象が今起きていること、??!
?どです。本書を読めば急激に拡大し複雑化するグローバル経済に対して、これをコントロールする政治機関もなければ頼れる経済理論もないことに不安を感じます。よって、本書の最終的な主張である”心理学、社会学政治学を内包した広く深い経済思想の必要性”は読者の胸に強く響きます。


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