Book Review!


作者:宮田 登


レビュー: 妖怪の民俗学 (ちくま学芸文庫) (文庫)

 1985年に岩波書店から出た単行本の文庫化。いくつかの版がある。

 本書は民俗学の立場から妖怪を論じたもの。柳田国男井上円了を融合させようという試みでもある。著者はもともと現代の民間信仰から出発した研究者で、本書でも最後は現代的な問題に行き着いている。

 主要なテーマとなっているのは、妖怪と場所。化け物屋敷、辻、橋、都市など、妖怪のあらわれる場所が取り上げられ、どうしてそこがスポットとなるのか、民俗学的に分析される。

 柳田、井上の理論を批判し、場所の概念を持ち込んだものと言えよう。なかなか説得力があり、納得させられる。


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