Book Review!
作者:片岡 義男
レビュー: 赤いボディ、黒い屋根に2ドア―アメリカの雑誌広告でたどる275台の自動車の容姿 (単行本)
片岡義男の、簡潔で気持ちのいい文体は、このテーマにぴったりだ。雑誌広告は、アメリカ資本主義の象徴ともいうべき自動車を、アメリカ的な美意識と理想主義で、大衆の「夢の頂上」にしてみせた。前進することが幸福につながるという時代は、たぶん、もう二度と、人類には訪れないだろう。古きよき時代のエレガントな雑誌広告のなかに、夢の残滓を味わうというのも、またいいものだ。そういう時代をわたしたち自身がもったわけではないが、そういう夢の破片を、おなじようにほんの少し夢みたというあかしのために。
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